ノーライフキング

ノーライフキングとは

「ノーライフキング」という言葉は、複数の意味を持つ。

1. いとうせいこうの小説、および市川準監督の映画: いとうせいこうの小説（1988年発表、第2回三島由紀夫賞候補作）と、それを原作とした市川準監督の映画。
2. テーブルトークRPG『ソード・ワールドRPG』のモンスター: 魔術師が自ら変異した最上位の吸血鬼。「不死の王」と当て字されることが多い。
3. アンデッドの称号: 最強・最恐のアンデッド個体、または下位アンデッドの支配者。吸血鬼であることが多い。称号や通称である場合と、アンデッド種族名である場合がある。
4. ゲーム『ヴァルキリープロファイル』シリーズのキャラクター: 「不死者の王」ブラムスのこと。

本記事では、主に1の小説・映画と2のRPGモンスターについて解説する。

いとうせいこうの小説・映画

概要

子供たちの間で囁かれる噂と、それに影響された行動に大人たちが翻弄される様を描く。

1980年代のファミコンブームを背景に、子供たちの情報ネットワークと、ゲームが社会に与える影響を描いた作品。

あらすじ

家庭用ゲーム機「ディス・コン」が普及した時代。小学生の間では、ディス・コン用ゲームの攻略情報交換を目的とした独自の情報網が構築されていた。

特に人気を集めていたのが、ロールプレイングゲーム「ライフキング」。現代日本を舞台に、小学生の主人公が呪われた世界を解放するというストーリーで、身近な大人を「敵」とした舞台設定や、隠された「裏技」などが子供たちを魅了した。

子供たちの間では、「ライフキング」のバージョンの中に、クリアできないと呪われてしまう「ノーライフキング」というバージョンが存在するという噂が広まっていた。

小学校4年生の大沢まことは、「ライフキング」に熱中する少年。ある日、彼の通う小学校で、校長がゲームに登場する敵とそっくりの台詞を吐いた直後に急死する事件が起こる。「校長の死はノーライフキングの呪いだ」という噂が広まり、まことを始めとする子供たちは、現実世界の「ノーライフキング」の攻略方法を探し始める。

登場人物

大沢まこと: 主人公。ごく平凡な小学4年生。
室井克也: まことのクラスメートで友人。
木村実: まことのクラスメートで友人。
中村さとる、中村あきら: まことのクラスメートで友人の双子。
望月圭昌: まことのクラスメート。ガキ大将的な存在。
亀井典子: まことのクラスメート。
大沢まみこ: まことの母。キャリアウーマン。
水田信彦: 雑誌編集者。「ノーライフキング」の噂を取材している。

映画

1989年公開。監督は市川準。原作とは世界観を大きく変え、テレビゲームに熱狂する少年たちを描いている。劇中のゲーム「ライフキングの伝説」は、X68000でプログラミングされた。

キャスト

大沢まこと：高山良
室井克也：原田慎也
大沢まみこ：鈴木さえ子
水田信彦：斉藤ネコ
校長先生：はやしこば

スタッフ

監督：市川準
脚本：じんのひろあき
音楽：はやし・こば、鈴木さえ子

『ソード・ワールドRPG』のノーライフキング

『ソード・ワールドRPG』では、魔術師が死霊魔術の奥義を用いて自ら変異した、最上位の吸血鬼として登場する。

暗黒神ファラリスに選ばれた吸血鬼とは異なり、自らの意思で不死を得た存在であり、バンパイアの特性に加え、生来の能力も大きく上昇する。

変異の儀式を伴う呪文は失われており、古代王国時代の強力な魔術師のみがなし得る存在とされる。

ノーライフキングの特徴

バンパイアの上位種
強力な魔法力
不死性
下位のアンデッドを支配する力

著名なノーライフキング

アルヴィンス・デラクロス：古代王国末期の死霊魔術師。
サルバーン：ロードス島最後の太守。
バグナート：黒の導師。

D&Dとの比較

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のリッチに相当する存在と言える。ただし、吸血鬼の上位種という位置づけになっているのは、『ソード・ワールド』独自の解釈によるもの。

その他作品におけるノーライフキング

HELLSING: 主人公アーカードを「不死の王（ノーライフキング）」と呼ぶ。
* ウィザードリィルネサンス: アンデッドの王であるバンパイアロードの上に、「無機の王」と当て字されるアンデッドの神として登場する。

「ノーライフキング」は、作品によって様々な意味を持つ言葉だが、共通するのは「不死」と「支配」のイメージであると言えるだろう。

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