ハイアリアパーク競馬場

ハイアリアパーク競馬場：フロリダのサラブレッドとクォーターホースの歴史を刻む名場

フロリダ州ハイアリアに位置するハイアリアパーク競馬場は、1925年の開場以来、アメリカ競馬史にその名を刻む歴史的な競馬場です。かつては、フロリダ州におけるサラブレッド競馬の中心地として、数々の名勝負を繰り広げてきました。特に、ケンタッキーダービーへの重要な前哨戦として知られるフラミンゴステークスは、この競馬場の象徴的な競走として名を馳せていました。

ハイアリアパークの創設は、1920年代にさかのぼります。投資家ジェームズ・ブライトと航空技師グレン・カーチスらの尽力によって建設が始まり、当初はグレイハウンド競走場として開場しました。その後、サラブレッド競馬への転換を図り、1925年に正式に競馬場としてオープンしました。

開場当初から、ハイアリアパークは多くの魅力を備えていました。1マイルのダートコースに加え、豪華なスタンド、クラブハウス、厩舎、そしてダンスホールやジェットコースターなどの娯楽施設が併設され、多くの観客を魅了しました。しかし、歴史のなかでハリケーン被害に見舞われるなど、幾多の困難にも直面しています。

1930年代には、オーナーブリーダーであったジョセフ・アーリー・ワイドナーが買収し、大規模な改修が行われました。建築家レスター・ゲイスラーによる設計は、ヨーロッパの競馬場を参考にした洗練されたもので、1932年に再オープンした競馬場は、アメリカで初めて芝コースやトータリゼータシステムを導入するなど、常に先進的な設備を誇っていました。さらに、競馬場のシンボルともなったフラミンゴの導入や美しい庭園も話題となり、観光地としての魅力も兼ね備えていました。

ハイアリアパークは、東海岸・中部地区の主要な競走を開催する場として、その名声を高めていきました。フラミンゴステークスやワイドナーハンデキャップは、後にG1競走に格付けされ、多くの名馬を輩出しました。特にフラミンゴステークスからは、数々のケンタッキーダービー優勝馬が出走し、この競馬場の地位を不動のものにしました。

しかし、20世紀末には経営難に陥り、フラミンゴステークスなどの主要競走が休止されるなど、衰退の道を辿るようになります。2001年には無期限の休止に追い込まれ、2004年には営業許可が取り消され、事実上廃止されました。

その後、2009年にクォーターホース競馬場として再出発を果たしました。新たなオーナー、ジョン・ブルネッティによる多額の投資と、州政府によるスロットマシン設置許可などの支援もあり、見事復活を遂げたのです。現在では、冬季を中心にクォーターホース競走を開催し、新たな歴史を刻み続けています。

ハイアリアパーク競馬場は、その歴史と魅力から、アメリカ競馬史において重要な位置を占めています。サラブレッド競馬の栄光時代から、クォーターホース競馬場として再生した現在まで、常に変化を続けながら、フロリダ競馬の中心として存在感を示し続けているのです。その歴史的な建造物は、1979年にアメリカ合衆国国家歴史登録財に登録されており、その文化的価値も高く評価されています。

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