ハイドラ70ロケット弾

ハイドラ70ロケット弾

ハイドラ70ロケット弾（Hydra 70 rocket）は、アメリカ軍が運用する航空機搭載型の小型ロケット弾システムです。このロケット弾は1948年に開発されたMk4 FFAR『マイティ・マウス』の後継として、1972年から使用が開始されました。ハイドラ70は、直径が2.75インチ（約70mm）、長さが約1.06メートルのロケット弾で、各種弾頭を取り付けて使われます。

基本設計と構造

ハイドラ70は、Mk66ロケット・モーターを基にした設計です。このモーターは、発射前に弾体を毎分600回転させる機能があり、発射直後には3枚の展開式取り巻き翼により毎分2,100回転の回転を実現し、弾道の安定性を向上させます。ハイドラ70の射程は、弾頭の種類にもよりますが、最大でも約8,000mに達することが可能です。また、ハイドラ70は「Wrap-Around Fin Aerial Rocket」とも呼ばれ、取り巻き型の翼の構造が特徴です。

多様な弾頭

ハイドラ70には多数の弾頭が用意されており、目的に応じて適切な装備を選択できます。以下に主な弾頭を紹介します。

M151弾頭

高爆発弾（HE）で、対人や資材破壊に仕様されます。殺傷範囲は50mに及び、様々な信管を使用できます。

M229弾頭

M151の大型版で、炸薬の重さが2.17kgです。

M247弾頭

対装甲に向けられた成形炸薬（HEDP）弾頭で、装甲に対して効果的です。

M255/M255E1 弾頭

フレシェット弾頭で、目標に幅広く対応できる特徴があります。

WDU-4A/A 弾頭

近年のフレシェット弾で、空中での爆発に特化しています。

M261 MPSM

中に9発の小型炸薬を内蔵しており、時限信管で制御されます。

照明弾

M257とM278はそれぞれスタンドオフ・イルミネーションフレアと赤外線イルミネーションフレアとして使用され、特定の場所を照らす目的があります。

誘導型ロケット弾の開発

ハイドラ70は無誘導爆弾として利用されてきましたが、目標への命中率向上のために誘導型ロケット弾の開発が進められました。APKWS（先進精密攻撃兵器）やLOGIR（低価格画像誘導ロケット弾）などがその代表です。特にAPKWSは、セミアクティブ・レーザーモジュールを組み込むことで脱F&F（ファイア・アンド・フォーゲット）を可能にし、新しい攻撃方法を提供します。

発射ポッドと運用国

ハイドラ70は、LAUシリーズのポッドから発射され、各国の軍隊に広く採用されています。オーストラリア、エジプト、日本、韓国、そしてアメリカ合衆国を含む数多くの国で使用されています。

映画やゲームでの登場

このロケット弾は、多数の映画やゲームでも登場し、アメリカ軍機による精密攻撃の象徴的存在として知られています。たとえば、映画『アパッチ』やゲーム『バトルフィールド』シリーズにも登場し、まさに実戦での役割の重要性を示しています。

ハイドラ70ロケット弾は、その設計、技術、運用性から、高い信頼性と多用途性を兼ね備えた航空機搭載型弾薬として、現代戦において不可欠な兵器となっています。

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