ファイア・アンド・フォーゲット

ファイア・アンド・フォーゲット技術の概要

ファイア・アンド・フォーゲット（Fire-and-forget）は、最近のミサイル技術において重要な進展を象徴する言葉で、当該技術を利用することでミサイルが標的を追尾する機能を持ちます。このため、発射後は発射母体が継続的に照準を維持する必要がなくなります。日本ではしばしば「撃ち放し能力」とも呼ばれ、兵器システムの効率性と安全性を高める要素として注目されています。

従来のミサイル誘導方式

過去、多くの誘導ミサイルは発射母体が発射後も照準を維持し続けなければなりませんでした。例えば、対象に対してレーザー光や他の手段で照準を照射する必要がありましたが、これは発射母体や観測機、さらには特殊部隊の隊員が直接照準を行うため、常にリスクに晒されることとなります。

航空機での運用を考慮すると、照準を維持することは機体の機動性を制限し、敵機による攻撃の危険性を高める要因となります。また、特殊部隊員においても、彼らが持つレーザー照準器に依存することで、貴重な人員を危険な状況に置くことになります。これが従来の方法の大きな欠点と言えるでしょう。

ファイア・アンド・フォーゲットの仕組み

ファイア・アンド・フォーゲット能力を持つミサイルでは、まず発射前に標的の情報がミサイルにプログラミングされます。この情報には標的の座標や速度、さらには赤外線画像などが含まれることがあり、射撃統制システムを通じてミサイルに送られます。

発射後は、ミサイル本体が搭載されたセンサー（ジャイロスコープやGPS、レーダー、赤外線シーカーなど）を使い、標的を自動で追尾します。これにより、発射母体は他の行動に集中できるようになり、全体的な作戦の安全性と効率が向上します。また、いくつかの先進的なシステムでは、ミサイルが発射後も標的に関する情報を受け続けることができる機能も備えています。

適用例

この技術はさまざまなミサイルシステムに採用されています。以下はその一部です：

• - 空対空ミサイル

- AIM-4 ファルコン（赤外線誘導型）
- AIM-9 サイドワインダー
- AIM-120 AMRAAM
- 99式空対空誘導弾（AAM-4）
- TC-2（天剣2型ミサイル）
- R-77 RVV-AE

• - 空対地ミサイル

- AGM-65 マーベリック
- AGM-114L ロングボウ・ヘルファイア
- トリガート

• - 地対空ミサイル

- FIM-92 スティンガー

• - 地対地ミサイル

- 01式軽対戦車誘導弾
- 中距離多目的誘導弾
- FGM-148 ジャベリン

• - 艦対空ミサイル

- RIM-116 RAM

これらのミサイルはすべて、ファイア・アンド・フォーゲット技術により、標的を迅速かつ正確に攻撃する能力を持っています。

まとめ

ファイア・アンド・フォーゲット技術は、ミサイル戦略において革命的な進展をもたらしました。この技術により、発射母体は照準を維持する必要がなくなるため、兵器システムの運用効率が向上し、操作する隊員の安全も確保されます。今後もこの技術は、ミサイルシステムのさらなる発展に寄与することが期待されています。

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