ハイパック

ハイパック（HIPAC）とは

ハイパック（HIPAC）は、1971年（昭和46年）にパイオニア（当時のカーエレクトロニクス事業部）が規格化し、製品化したエンドレスカートリッジ及び再生機器です。主にカーステレオや幼児向け教材機器での利用を想定して開発・製造・発売されました。この規格は、既存のプレーテープカートリッジを基盤とし、コンパクトカセットと同じテープ幅を用いて4トラック2プログラムを実現した点が特徴です。

技術的な特徴

ハイパックのテープ速度は、4.8cm/秒と9.5cm/秒の2種類が規格化されましたが、市場に投入されたソフトのほとんどは4.8cm/秒でした。収録時間は、多くのカートリッジで8トラックよりも短く、再生機器もポータブル製品を含めて数機種しか存在しませんでした。パイオニアの公式ウェブサイトにも詳細な情報が掲載されておらず、海外への市場展開も行われなかったため、プレーテープ以上にマイナーな存在となりました。

歴史と終焉

ハイパックは、「ポンキー」および「ピンキー」というシリーズで、幼児向け教材機器分野への展開も試みられましたが、その普及は限定的でした。最終的には、1979年（昭和54年）末までに製造と販売が終了し、わずか8年の歴史に幕を閉じました。この短命さは、技術的な革新性にもかかわらず、市場での受け入れが難しかったことを示しています。

ハイパック協議会

ハイパックの規格策定と普及には、パイオニアの他に以下の企業が参加していました（社名は当時のもの）。

アポロン音楽工業
クラリオン
講談社
シャープ
東京芝浦電気
東芝音楽工業
日本コロムビア
日立製作所
三井物産家電販売

これらの企業が参加したことで、ハイパックは一時的に業界内で注目を集めましたが、最終的には市場での競争に敗れる形となりました。

注意点

ハイパックはプレーテープよりもテープ幅が広いため、プレーテープ用の機器で再生を試みるとテープを破損する可能性があります。互換性がないため、間違った機器での再生は絶対に避けるべきです。

関連技術

ハイパックは、オーディオ技術史において、以下の関連技術と深く関連しています。

4トラック: テープに4つのトラックを記録する技術。
8トラック: 8つのトラックを記録する、より普及した規格。
フィデリパック: 放送業界で使用されたカートリッジ式のテープシステム。
プレーテープ: ハイパックのベースとなった、より初期のカートリッジ式テープ。
コンパクトカセット: ハイパックと同時期に登場した、より成功した磁気テープ規格。
* ポケットロッカーズ: カートリッジ式のポータブルオーディオプレーヤー。

ハイパックは短命に終わりましたが、当時のオーディオ技術の進化と競争の一端を示す貴重な例です。その技術的な側面や、関連する規格との比較を通して、オーディオ機器の歴史を深く理解する手がかりとなるでしょう。

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