ハイパートンネルズ&トロールズ

ハイパートンネルズ&トロールズ（ハイパーT&T / HTT）

『ハイパートンネルズ&トロールズ』は、テーブルトークRPG（TRPG）のルールシステムの一つです。プレイヤーはファンタジー世界の冒険者となり、ゲームマスター（GM）から提示される様々な課題に挑戦します。ダンジョン探索、事件解決など、与えられたミッションのクリアを目指しましょう。5～6人程度のパーティーを組んでプレイするのがおすすめです。

行動や攻撃の成否は、サイコロを振って判定します。シンプルなルールながら、奥深い戦略性も兼ね備えているのが魅力です。

概要

『ハイパートンネルズ&トロールズ』は、ケン・セント・アンドレ氏らが制作したTRPG『トンネルズ&トロールズ第5版（T&T）』をベースに、安田均氏、清松みゆき氏らグループSNEのメンバーがルールを改変したものです。

1991年に社会思想社からT&Tの追加ルールとして最初のルールブックが出版されました。その後、1994年6月には角川書店（角川スニーカー・G文庫）から、T&Tがなくてもプレイできるように再編集されたリニューアル版が発刊され、現在はこちらのルールが主流となっています。

T&Tは元々ダンジョン探索に特化したシステムでしたが、スキル制やハイパーポイントの導入により、街を舞台にした冒険も楽しめるようになりました。魔法体系も拡張され、従来の1系統から「魔術師系」「呪術師系」の2系統に分類。T&Tのサプリメント『モンスター！モンスター！』に収録されていた「僧侶系」魔法に加え、新たな系統として「怪盗系」が追加されました。

選択可能な職業も大幅に増加し、キャラクター作成の自由度が向上しています。戦闘時の行動も、行動タイミングの明確化、スキルの使用、職業別の特殊オプションの追加により、戦術の幅が広がりました。

しかし、ゲームの根幹部分は、TRPG黎明期のT&Tの特徴を色濃く残しています。スピーディーで大胆なゲーム展開が可能で、ダイナミックなストーリーを楽しめます。その反面、戦闘中にありえないような出来事が起こりやすく、ゲームバランスが大味になることもあります。

他のTRPGと比較して、強力な魔法や武器を比較的早い段階で使用できるのも特徴です。そのため、中レベル以上のキャラクターになると、ゲームバランスの調整に苦労するかもしれません。

システム

スキル制

行動の成否判定に、スキル制が導入されています。キャラクターが特定のスキルを持っている場合、その行動の成功率が上昇します。例えば、川を渡る際、「水泳」スキルを持つキャラクターは、体力に関わらず成功しやすくなります。

ハイパーポイント

各キャラクターは、自身の強さに応じた『ハイパーポイント』を所持しています。このポイントを消費することで、行動判定を有利にしたり、攻撃力を高めたりすることができます。いわゆる「ヒーローポイント」のようなものです。

選択可能な職業

戦士: 攻撃力を高める戦闘オプション「渾身の一撃」「ハイパー・バーサーク戦闘」を使用可能。
盗賊: 武器、魔法を使用可能。スキル制の導入により、戦闘以外での活躍の場が広がった。
魔術師: 「魔術師系」（攻撃呪文など直接的な効果のもの）の呪文を使用可能。
呪術師: 「呪術師系」（戦闘補助や呪いなど間接的な効果のもの）の呪文を使用可能。
魔法戦士: 魔術師系の呪文を使用可能な戦士。
魔道士: 呪術師系の呪文を使用可能な戦士。
僧侶: 僧侶系の魔法を使用可能。宗派によって使用できる呪文や武器が制限される場合がある。
聖闘士: 僧侶に仕える戦士。僧侶系の魔法を制限付きで使用可能。戦闘後、死亡する危険と引き替えに爆発的な戦闘力を得る「聖戦士宣言」を使用可能。
武闘家: 鍛え上げた肉体と精神を武器に戦う。素手、またはヌンチャクなどの特殊な武器と軽い防具のみ使用可能。成長につれて攻撃力が上昇し、一時的に攻撃力を高める「気・効果」を使用可能。
怪盗: 盗賊とほぼ同様だが、怪盗系魔法（盗賊の技に役立つ効果の呪文が多い）のみ使用可能。

世界設定

角川版では、背景世界として「ドラゴン大陸」が設定されています。T&Tの公式背景世界「カザン」や「コースト」を含む地域が竜の頭部の形状をしていることから、その胴体部分を独自に設定したものです。ただし、「カザン帝国」のある「竜の首」は他の地域とは魔法的に分断されており、通常の手段での行き来はできません。ドラゴン大陸における宗教などの設定も存在します。

後に公式背景世界でも世界が広がり、『トンネルズ&トロールズ完全版』において「ドラゴン大陸」の正式名称が「ルールフ」と設定され、全く異なる世界となりました。

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