ハイメ (伝説の人物)

ハイメ：伝説のゲルマン英雄

ハイメ（独：Heime）、ハーマ（古英語：Háma）、ヘイミル（古ノルド語：Heimir）は、ゲルマンの伝説に登場する英雄です。特にヴィテゲの親友として知られ、『ベーオウルフ』、『ウィドシス』、『シズレクのサガ』、『アルプハルトの死』といった物語にその名を見ることができます。

起源

ヴィテゲと同様に、ハイメもまたゴート族の英雄に起源を持つと考えられています。古英語の詩によれば、ハイメとヴィディゲはフン族と戦ったゴート族の戦士でした。彼らは後に、ゴート族の王エルマナリクやテオドリック王（シズレク、ディートリヒ・フォン・ベルン）と関連付けられるようになります。しかし、『シズレクのサガ』などでは、次第に反逆者として描かれるようになりました。

ハイメの冒険

『シズレクのサガ』では、ハイメはかつて別の名前を持っていましたが、ある時それを失い、「ハイメ」という名を与えられました。この名前は、龍のように獰猛な彼の容姿に由来するとされます。ドイツの伝承では、実際にハイメが龍を退治したという逸話も残っています。

彼はブルトガングという剣と、リスペという名の馬を所有していました。17歳になったハイメは、当時12歳だったディートリヒ・フォン・ベルンに戦いを挑むため旅立ちます。ディートリヒとの決闘では、ハイメの剣は折れ、ディートリヒの兜も砕け散りました。敗北したハイメはディートリヒに忠誠を誓い、後にディートリヒが名剣エッケザックスを手に入れた際、それまで使用していたナーゲリングを授けられました。

ドイツの詩によると、ハイメはエルマナリクに仕え、一時的にディートリヒのもとを離れたとされています。『シズレクのサガ』ではこの点に触れられておらず、逆にヴィテゲと共にエルマナリクと戦ったとされています。アングロサクソンの物語でも、ヴィテゲとハイメは常にセットで語られます。また、ドイツの詩には、ハイメがヴィテゲをアルプハルトから救い出す物語も存在します。2対1での戦いは不名誉とされますが、ハイメとヴィテゲは協力してアルプハルトを打ち破りました。

『シズレクのサガ』におけるハイメは、晩年を修道院で過ごしました。しかし、巨人アスピリアンが修道院を襲撃した際、再び鎧を身にまとい、巨人を退治します。その後、ディートリヒが再び仕えるように望んだため、ハイメは僧としての生活に戻ることができなくなりました。さらに、税の取り立てのために修道院を訪れた際、税を徴収できなかったハイメは、修道僧を皆殺しにし、修道院を焼き払ったとされています。しかし、その後、別の巨人との戦いで敗れ、命を落としました。ディートリヒはハイメの仇を討ったと伝えられています。ドイツの物語では、インスブルックにある修道院に埋葬されたとされています。

ヘイミル王

『ヴォルスンガ・サガ』には、ヘイミルという人物が登場します。彼はハイメとは異なる点も多いですが、同一人物として扱われることもあります。ヘイミルはブリュンヒルデの母方の叔父であり養父、またはブリュンヒルデの姉妹の配偶者という立場です。また、シグルズとブリュンヒルデの娘であるアスラウグの養父でもあります。ブリュンヒルデが幼いアスラウグを殺害しようとした際、ヘイミルはアスラウグを竪琴の中に隠し、吟遊詩人に身をやつしてノルウェーまで逃れました。最終的には、竪琴に貴重品を隠していると疑われ、眠っているところを殺害されてしまいます。

このように、ハイメは様々な物語の中で、勇敢な戦士、反逆者、修道士など、多様な側面を持つ人物として描かれています。彼の冒険譚は、ゲルマンの英雄伝説を豊かに彩る要素の一つと言えるでしょう。

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