ハイヤ節

ハイヤ節

ハイヤ節は、長崎県平戸市田助港（たすけこう）地方に伝わる民謡であり、酒盛唄として知られています。田助節、田助ハイヤ節とも呼ばれます。

発祥と伝播

平戸島の田助港は、かつて風待ちや潮待ちをする船で賑わい、船乗りを相手とする遊郭が多く存在しました。この田助港で生まれたハイヤ節は、船の往来とともに全国へと広がり、各地の港の遊郭でお座敷歌として親しまれました。発祥時期は明確ではありませんが、江戸時代後期には既に成立していたと考えられています。

各地への影響

ハイヤ節は、熊本県牛深の牛深ハイヤ節や鹿児島県のハンヤ節のルーツであるという説が有力です。ただし、牛深ハイヤ節や阿久根ハンヤ節自体にルーツを求める説もあります。いずれにせよ、ハイヤ節が各地の港から海路を通じて伝播していったことは確かです。

九州地方では、福岡県の小倉ハイヤ節や島原の島原ハイヤ節などが知られています。また、日本海沿岸を北上し、京都府の宮津アイヤエ踊り、新潟県の佐渡おけさ、山形県の庄内ハエヤ節、青森県の津軽アイヤ節なども、ハイヤ節の影響を受けていると考えられています。

太平洋側でも、岩手県の南部アイヤ節や宮城県のアイヤ節、塩釜甚句などにその影響が見られます。これらの多くは、酒席で歌われる騒ぎ唄として親しまれています。

文化財としての指定

2008年2月22日、長崎県は唄と踊りを含むハイヤ節を無形民俗文化財として指定しました。平戸市では毎年10月に行われる平戸くんち城下秋まつりで、伝統芸能として田助ハイヤ節が披露されます。現在踊られている田助ハイヤ節の振り付けは、1968年に明治百周年記念事業として新たに作られたものです。

歌詞の特徴

ハイヤ節の詩形は七七七五で構成されています。「ハイヤエー（ハイヤ）」という掛け声は、出船時のものが元になっています。歌詞は牛深ハイヤ節とほぼ共通しており、囃子言葉が異なる程度です。「着いたやら」は「着けたやら」や「入れたやら」とも歌われます。囃子言葉に登場する禿島は、田助港近海の岩嶼を指します。

関連項目

伝馬船
北前船

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