ハインツ・ギュンタード

ハインツ・ギュンタード（Heinz Günthardt, 1959年2月8日 - ）は、スイス・チューリッヒ出身の元男子プロテニス選手です。現役時代はダブルスのスペシャリストとして名を馳せ、ATPツアーでシングルス5勝、ダブルス30勝という輝かしい成績を残しました。自己最高ランキングはシングルス22位、ダブルス3位を記録しています。

特に、ハンガリーのバラージュ・タロツィとのダブルスは多くの好成績を収め、テニスファンを魅了しました。そのプレースタイルは、緻密な戦略と卓越した技術に裏打ちされたものでした。

現役引退後、ギュンタードは指導者としての才能を開花させます。最も有名なのは、シュテフィ・グラフのコーチとしての活躍でしょう。モニカ・セレシュに世界ランキング1位の座を奪われたグラフは、当時スランプに苦しんでいました。そんな中、グラフの父であるペーター・グラフからのオファーを受け、ギュンタードは1990年代初頭からグラフのコーチに就任しました。

彼の指導のもと、グラフは目覚ましい復活を遂げ、1999年に引退するまでに4大大会で12勝を挙げるという偉業を達成しました。ギュンタードの指導哲学は、選手の個性を尊重し、長所を最大限に引き出すことに重点を置いていました。

当時不調だったグラフに対し、ギュンタードは「ストロークのバリエーションを増やすよりも、今ある物の質を高めるべきだ」という信念を持って指導に当たりました。具体的には、グラフの持ち味であったバックハンドのスライスを徹底的に強化しました。その結果、グラフは以前は多用していたバックハンドのトップスピンを、ごく限られた場面でしか使用しなくなったのです。この戦略が功を奏し、グラフはスライスを軸とした守備的なプレースタイルを確立し、再び世界の頂点へと返り咲きました。

グラフの引退後も、ギュンタードはエレナ・ドキッチ（セルビア）、アナ・イバノビッチ（セルビア）といったトップ選手のコーチを務め、その指導手腕を発揮しました。彼は、選手の潜在能力を引き出し、個々のプレースタイルに合わせた指導を行うことで、多くの選手を成功に導いてきました。

ギュンタードの指導者としての成功は、彼の深いテニス知識、鋭い観察眼、そして選手との信頼関係を築く能力に支えられています。彼は、テニス界において、選手としても指導者としても、多大な功績を残した人物として高く評価されています。

[外部リンク]

ハインツ・ギュンタード - ATPツアーのプロフィール （英語）
ハインツ・ギュンタード - デビスカップのプロフィール （英語）
ハインツ・ギュンタード - 国際テニス連盟
ウィキメディア・コモンズには、ハインツ・ギュンタードに関するカテゴリがあります。

もう一度検索