ハインリヒ・ダレスト

ハインリヒ・ルイス（ルートヴィヒ）・ダレスト（Heinrich Louis d'Arrest、1822年7月13日 - 1875年6月14日）は、プロイセン出身の著名な天文学者です。ライプツィヒ大学で天文学の教授を務め、その研究と教育活動は後世に大きな影響を与えました。

生涯

1822年、ダレストはベルリンでユグノーの末裔として生まれました。1837年にベルリン大学に入学し、天文学の道へと進みます。大学卒業後の1845年には早くも彗星を発見し、その功績によりデンマーク王からメダルを授与されました。

1846年、ダレストはベルリン天文台でヨハン・ゴットフリート・ガレの助手として働き始めました。この時期に、天文学史上重要な出来事が起こります。9月23日、ガレのもとにフランスの天文学者ユルバン・ルヴェリエから、「天王星の軌道のずれを説明する未知の惑星が存在する可能性があり、その探索のために空のある領域を観測してほしい」という手紙が届きました。ガレとダレストは、ルヴェリエが計算した予測位置を観測し、その夜のうちに星図に記載されていない天体を発見しました。その後の観測により、これが新惑星であることが確認され、「海王星」と命名されました。この海王星の発見は、理論計算に基づいて天体が発見された最初の例として、天文学史における画期的な出来事となりました。

1848年、ダレストはライプツィヒ天文台に移籍し、1850年にはライプツィヒ大学で博士号を取得しました。1851年には周期彗星である6P/ダレスト彗星を発見するなど、その研究活動は多岐にわたりました。1858年にはコペンハーゲン大学の教授に就任し、1861年には新設されたコペンハーゲン大学天文台の台長に任命され、教育と研究の両面で貢献しました。1862年には小惑星フレイアを発見しました。1864年には火星の衛星を探索しましたが、発見には至りませんでした。しかし、この探索を通じて、火星から70分以内に衛星が存在する可能性を指摘しました。ダレストは星雲の研究にも力を注ぎ、1873年には、ガス状星雲が銀河面に沿って分布していることから、それらが銀河系の内部に属する天体であるという説を提唱しました。この説は、当時の天文学界に大きな影響を与えました。

1875年、ダレストは天文学の分野での貢献が認められ、王立天文学会ゴールドメダルを受賞しました。しかし、同年コペンハーゲンで生涯を閉じました。

エポニム

ダレストの功績は、その死後も称えられ続けています。[月]]にあるクレーターの一つであるダレスト・クレーター、火星の衛星フォボスのクレーター、そして小惑星]ダレストは、いずれも彼の名前を冠しています。これらの命名は、彼の[[天文学に対する偉大な貢献を後世に伝えるものです。

主な業績

海王星の発見への貢献
6P/ダレスト彗星の発見
小惑星フレイアの発見
ガス状星雲が銀河系内部に属するという説の提唱

ハインリヒ・ダレストは、海王星の発見という歴史的な瞬間に立ち会っただけでなく、その後の天文学の発展にも大きく貢献しました。彼の研究は、彗星、小惑星、星雲など多岐にわたり、天文学の分野において多大な功績を残しました。彼の業績は、天文学の歴史において不朽のものとして語り継がれています。

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