ハインリヒ・フォン・シュヴァインフルト

ハインリヒ・フォン・シュヴァインフルト：東フランクの誇り

ハインリヒ・フォン・シュヴァインフルト（Heinrich von Schweinfurt, 970年頃 - 1017年9月18日）は、中世ドイツの有力貴族であり、シュヴァインフルト伯、そしてノルトガウ辺境伯としてその名を知られています。年代記編者メルゼブルクのティートマールによって「東フランクの誇り」と称えられた彼の生涯は、当時の政治情勢と深く関わっています。

生涯

ハインリヒは、ベルトルト・フォン・シュヴァインフルト（980年没）とアイリカ・フォン・ヴァルベックの息子として生まれました。父ベルトルトの出自は明確ではありませんが、バイエルン地方との繋がりから、ルイトポルト家のバイエルン公アルヌルフの子孫である可能性や、バーベンベルク家出身であるという説も存在します。

980年に父の死後、ハインリヒは伯位を継承し、994年にはノルトガウ辺境伯に任ぜられました。1002年、ハインリヒ2世が国王に選出される際、ハインリヒは支援の見返りとしてバイエルン公位を要求しました。しかし、ハインリヒ2世はバイエルン人が公を選ぶ権利を持つとして、この要求を拒否。当時、ハインリヒはバイエルン北部と東フランケンに広大な領土を有しており、ハインリヒ2世はバイエルン公領を与えることで、ハインリヒの勢力が更に拡大することを警戒したと考えられています。

公位を得られなかったハインリヒは、ハインリヒ2世に裏切られたと感じ、反乱を起こします。ポーランド公ボレスワフ1世、ボヘミア公ボレスラフ3世、そしてハインリヒ2世の弟であるブルーノらと同盟を結び対抗しましたが、最終的に拘束され、反乱は鎮圧されました。その後、シュヴァインフルト領と辺境伯位は返還されたものの、多くの領地を没収されることとなりました。ハインリヒが求めていたバイエルン公位は、1004年にハインリヒ2世の妃クニグンデの兄であるハインリヒ（アルデンヌ＝ルクセンブルク家）に与えられました。1007年には、この地での更なる反乱を防ぐため、ハインリヒ2世はバンベルク司教区を創設し、ノルトガウ辺境伯がかつて有していた支配権を引き継がせました。

1004年、ザクセン公ベルンハルト1世とマグデブルク大司教タギノの説得により、ハインリヒ2世はハインリヒと和解。その後、ハインリヒは徐々に領地を回復し、1017年に死去。シュヴァインフルトに埋葬されました。

子女

ハインリヒは、コンラディン家出身のヴェッテラウ伯ヘリベルトの娘ゲルベルガと結婚し、3人の息子と2人の娘をもうけました。

オットー（995年頃 - 1057年） - シュヴァーベン大公（3世、在位：1048年 - 1057年）
アイリカ - ザクセン公ベルンハルト2世と結婚
ユーディト（? - 1058年） - ボヘミア公ブジェチスラフ1世と結婚
ブルヒャルト1世（1000年 - 1059年） - ハルバーシュタット司教
* ハインリヒ - ノルトガウ伯、ペグニッツ伯。ヴィッテルスバッハ家の祖オットー1世（1072/8年没）の父ともいわれています。

ハインリヒ・フォン・シュヴァインフルトの生涯は、中世初期のドイツにおける貴族の権力闘争と、国王との関係の複雑さを物語るものであり、その足跡は歴史に深く刻まれています。

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