ハイ・ブリッジ (ニューヨーク市)

ハイ・ブリッジ：ニューヨーク最古の橋の歴史と再開通

ハイ・ブリッジ（High Bridge、旧名アクイダクト・ブリッジ Aqueduct Bridge）は、ニューヨーク市に架かる最も古い橋です。元々はクロトン水道の一部として1848年に開通し、2015年に遊歩道として再開されました。再開通までの40年以上もの間、閉鎖されたままだったこの橋は、全長約440mのアーチ橋で、ハーレム川を跨ぎ、マンハッタンとブロンクスという2つの行政区を結んでいます。

歴史

ハイ・ブリッジは、1837年に建設が開始され、1848年に石造りのアーチ橋として完成しました。これは、クロトン川から急速に発展するニューヨーク市へ水を供給するためのクロトン水道の一部として建設されたもので、水道の全長は約600mにも及びます。橋の設計は、ジョン・ジャービスが率いるクロトン水道の技術者チームによって行われ、ローマ水道を彷彿とさせるデザインとなっています。また、後にセント・パトリック大聖堂の設計を手がけたジェームズ・レンウィック・ジュニアも設計に携わりました。

建設当時、トンネル建設の技術がまだ発展途上であったため、リスクを回避する目的で、橋によってハーレム川に水道を通すという選択がされました。水道局と技術者は、低い橋（ロウ・ブリッジ）と高い橋（ハイ・ブリッジ）という2つの案を検討しました。ロウ・ブリッジ案は構造が単純で建設期間と費用を抑えられるというメリットがありましたが、ニューヨーク州議会は、高さが低いために橋の下の通行を妨げると判断し、最終的にハイ・ブリッジ案が採用されました。

1928年には、ハーレム川の水運を円滑にするために、川にかかっていた5つの石積みアーチが解体され、140mの単一の鉄製アーチに造り替えられました。1848年に建設された当初のアーチは、マンハッタン側の陸上に1つ、ブロンクス側の陸上に10残っています。

1949年12月15日、ハイ・ブリッジは水道路としての役割を終えました。1950年代には人々の通行が可能でしたが、橋の老朽化が指摘されたことや、市の財政および治安の問題から、1970年代に閉鎖されることとなりました。

2006年11月、ニューヨーク市公園・保養局は、橋を改修して2009年に再開通させる計画を発表しました。予算の都合などで幾度かの延期を経て、2009年に基本案が策定され、2010年には橋の設計がLichtenstein Consulting EngineersとChu & Gassman Consulting Engineersに委託されました。改修案には、橋の補強、階段の改修、防犯カメラやボート標識灯の設置などが盛り込まれました。歩道と自転車道が整備され、合計0.5平方キロメートル以上の広さになるマンハッタン側とブロンクス側の公園が結ばれ、公園周辺の緑道へのアクセスも確保されました。数回の完成延期の発表後、2015年6月に正式に再開業し、6月9日にはリボンカットが行われ、正午には一般に開放されました。

ハイ・ブリッジ給水塔

ハイ・ブリッジ給水塔は、マンハッタンのハイブリッジ・パーク内、およそ西173丁目と174丁目の間に位置しています。1866年から1872年頃にかけて、需要が拡大するニューヨーク市への水供給システムを強化するために建設されました。全高61mの八角形の塔で、1863年に州議会によって建設が承認されました。設計は、ハイ・ブリッジの建設を監督したジョン・ジャービスが担当しました。給水塔の横には2.8ヘクタールの広さを持つハイブリッジ貯水池があり、30mの高さまで汲み上げられた水が、給水塔内の180立方メートルのタンクに送られました。現在、この貯水池は1934年から1936年にかけて建設されたハイブリッジ・プレイ・センターとして、遊戯施設や公共プールとして利用されています。給水塔の高さによる重力を利用して、当時普及し始めた水洗トイレを流すための水圧が供給されました。

クロトン水道の開業により、これらのシステムは以前ほど使用されなくなり、第一次世界大戦中には破壊活動が懸念され、完全に閉鎖されました。1949年に給水塔はサービスを停止し、1958年にはAltman Foundationの寄付によってカリヨンが設置されました。

1984年には、塔の円屋根が放火によって損傷しましたが、再建されました。また、石造りの耐力外壁も1989年から1990年にかけてWilliam A. Hall Partnershipによって改修されました。外装は、元々ロマネスク・リヴァイヴァルとネオ・グレック様式を混合したデザインで、ジョン・ジャービスが設計したものです。

塔の内部は一般公開されていませんが、鉄製の螺旋階段と6つの踊り場、そして対になった窓があります。

この給水塔は、1967年にニューヨーク市歴史建造物保存委員会によって、ニューヨーク市歴史建造物に指定されています。

まとめ

ハイ・ブリッジは、ニューヨーク市の歴史と深く結びついた貴重な建造物です。水道橋としての役割を終えた後も、公園の一部として市民に親しまれ、その美しい姿は今もなお多くの人々を魅了し続けています。

もう一度検索