ハクレン属 Hypophthalmichthys は、
コイ科に分類される属の一つで、一般的にはレンギョと総称されています。この属の
学名である Hypophthalmichthys は、ギリシャ語の「ὑπό (hypó)」(下)、「ὀφθαλμός (ophthalmós)」(眼)、「ἰχθῦς (ichthŷs)」(魚)に由来し、その名の通り、眼が口よりも下方に位置するという特徴を持っています。
ハクレン属の魚は大型の淡水魚であり、自然分布域は東アジアの
シベリアから
ベトナムにかけて広がっています。しかし、養殖や観賞目的、あるいは意図しない形で世界各地に移入され、現在では多くの地域で
外来種としてその存在が確認されています。
英語圏では、
ハクレン属の魚を指す際に “bighead carp” という名称が用いられることがありますが、この名称は特に
コクレン(Hypophthalmichthys nobilis)を指すことが多いです。
ハクレン(Hypophthalmichthys molitrix)は、英語では “silver carp” と呼ばれています。
分類
ハクレン属には、現在、以下の3種が認められています。
Hypophthalmichthys harmandi Sauvage, 1884
Hypophthalmichthys molitrix (Valenciennes, 1844)
ハクレン (silver carp)
Hypophthalmichthys nobilis* (J. Richardson, 1845)
コクレン (bighead carp)
これらの種は、それぞれ異なる特徴を持ち、生息環境や生態も異なっています。
ハクレンと
コクレンは、特に養殖の対象として重要であり、世界中で広く利用されています。しかし、
外来種としての側面も持ち合わせているため、生態系への影響も懸念されています。
ハクレン属の魚は、水中のプランクトンを主な食物としており、その濾過摂食能力は非常に高いことが知られています。このため、養殖池などでは水質浄化の役割を担うこともありますが、一方で、自然環境においては、在来の生態系に悪影響を与える可能性も指摘されています。
ハクレン属の魚は、その独特な外見と生態から、研究対象としても注目を集めています。また、その養殖技術や
外来種としての管理に関する研究も進められています。これらの研究を通じて、
ハクレン属の魚と人間社会がより良い関係を築けるように、今後も更なる知見の蓄積が求められています。