コクレン

コクレン（黒鰱）とは

コクレン（学名：Hypophthalmichthys nobilis）は、コイ科ハクレン属に分類される淡水魚の一種です。ハクレンと共にレンギョと総称され、中国を原産とする四大家魚の一つとして重要な位置を占めています。

生息域と特徴

コクレンは、中国の華南地域を中心に、主に珠江水系と長江水系に生息しています。黄河以北にも分布していますが、その数は少ないとされています。ソウギョ、ハクレン、アオウオと共に「四大家魚」として、中国では古くから重要な養殖対象となってきました。

コクレンはハクレンに似ていますが、体色に明らかな違いがあります。ハクレンが銀白色であるのに対し、コクレンは体色が黒ずんでおり、全身に黒い雲状の斑紋が広がっているのが特徴です。また、腹部の隆起線が腹鰭の位置よりも後方に位置している点もハクレンとの区別点です。成長速度が速く、最大で1.2メートルにも達します。体長は体高の3.1～3.5倍、頭長の2.9～3.4倍と、相対的に頭部が大きいのも特徴です。

日本への渡来と現状

日本には、アオウオと同様にハクレンやソウギョの輸入の際に混入したと考えられています。利根川水系や霞ヶ浦周辺で自然繁殖が確認されていますが、その生息数は極めて少なく、「幻の魚」とも呼ばれています。淀川にも放流されていますが、その現状はまだ希少な存在です。

生態

コクレンは、流れの緩やかな川や湖に生息し、中上層を遊泳します。食性はハクレンと同様にプランクトン食ですが、植物プランクトンよりも動物プランクトンを主食とします。

名称

中国大陸や台湾での標準名は「鱅（ヨン）」ですが、「𩻃魚」、「花鰱」、「大頭魚」、「黒鰱」、「胖頭魚」など、様々な地方名で呼ばれています。ベトナムでは「カーメーホワ」、タイでは「プラーソン」として知られています。

養殖

コクレンは、ハクレンと同様に古くから中国大陸や台湾で養殖されてきた家魚です。中国では、四大家魚を同じ養殖池で混養する手法が一般的でしたが、現代では大規模な養殖法によって個別で養殖されることが増えています。中国における全淡水魚の中で、コクレンは出荷量が4番目に多く、2010年には255.1万トンが出荷されました。湖北省、広東省、江西省など、多くの省で大規模な養殖が行われています。

利用

コクレンは、中国において重要な食用淡水魚として利用されています。特に広東省の江門市や仏山市では、「𩻃魚」として煮物や土鍋料理、スープに使われることが多く、順徳料理では頭部の皮のぷよぷよした部分が珍重されています。香港の市場でも中国産のものが出回るなど、広く消費されています。また、大型の淡水魚であるため、スポーツフィッシングの対象としても人気があります。

関連情報

四大家魚：中国における代表的な養殖魚であるソウギョ、ハクレン、アオウオ、コクレンの総称。
魚の一覧：様々な魚種に関する情報を網羅的にまとめたリスト。
養魚：魚類の養殖に関する技術や産業についての情報。
ハクレン：コクレンと近縁の魚種で、レンギョとして総称される。
ソウギョ：四大家魚の一つで、水草を主食とする魚。
アオウオ：四大家魚の一つで、底生生物を主食とする大型の魚。

外部リンク

* コクレン倶楽部

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