ハジラミ

ハジラミの概要

ハジラミ（羽蝨、羽虱）は、昆虫綱咀顎目 (Psocodea) に属する寄生性昆虫の一群で、主に血液を吸うシラミとは異なり、体毛や羽毛を咀嚼する生物を指します。このグループは、非常に多様性に富み、約2,800種が記録されており、その中でも250種が日本に分布しています。なお、ハジラミは血液を吸うタイプではありませんが、一部の種は宿主から血液を摂取することもあります。

分類と系統

ハジラミは以下の三つの系統に分類されます。
ホソツノハジラミ類（細角類）: Ischnocera
ゾウハジラミ類（長吻類）: Rhynchophthirina
* マルツノハジラミ類（鈍角類）: Amblycera

特にマルツノハジラミ類は、他の二つの系統と系統的に離れた特徴を持っており、そのためハジラミは多系統の生物群とされています。さらに、ハジラミは触角の長さによって長角ハジラミと短角ハジラミに分けられます。

特徴

ハジラミは鳥の羽毛や哺乳類の体毛の中で生活し、小型で扁平な体型をしています。成虫の体長は0.5から10mmで、体色は白色、黄色、褐色、黒色など多様です。大部分は鳥類の外部寄生虫であり、すべての鳥類に寄生しますが、いくつかの種は哺乳類に寄生することもあります。ハジラミはシラミに類似した形状を持ちつつも、胸部の各節が完全に癒合していない点など、多くの相違点があります。

また、ハジラミの口器は吸収型ではなく咀嚼型であり、大顎が発達しています。彼らは宿主の羽毛や体毛を食べるだけでなく、一部の種は血液を摂取することもあります。特にランゲンハジラミ属の一部は、宿主の血液や粘液を摂取することで知られています。

生活史と習性

ハジラミは不完全変態を経て、卵から若虫、成虫へと成長します。卵は長卵型で通常白色をしており、宿主の体毛や羽毛に産み付けられます。若虫は成虫に似た外観をしており、成長とともに色が付いていきます。

彼らは宿主の体表温度に敏感で、宿主が死ぬと数日以内に脱出し、その後も一緒に死ぬ運命にあります。ハジラミの伝播は宿主間の接触により行われ、また、他の昆虫に便乗して移動することもあります。ある種では、雄がほとんど見つからず、雌が多い傾向があります。

ハジラミの起源

ハジラミの祖先はチャタテムシと考えられています。これらは初期の中生代から新生代にかけて、羽毛を持つ動物の巣に寄生していったと推測されています。系統解析からは、ハジラミが異なる系統に分かれて進化したことが明らかになっています。この過程で、特に宿主である鳥と共進化を遂げてきました。

人間との関係

人間に直接の害はありませんが、家禽や家畜には寄生する種が存在します。特に、ニワトリに寄生するニワトリハジラミは畜産上の重要な問題です。寄生が増えると、動物はかゆみや不安を感じ、体を傷つけたり、食欲不振や生産性の低下を引き起こすことがあります。ハジラミ対策には、殺虫剤の使用や鶏舎の清掃が必要です。

結論

ハジラミは、血液を吸わずに宿主の羽毛や体毛を食べる特殊な寄生虫です。彼らの多様性や生活史は、宿主との相互作用の中で進化してきた結果です。人間や家畜においては、その寄生によりさまざまな問題が生じることがあるため、理解と管理が求められる生物群といえるでしょう。

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