ハチゴロウの戸島湿地

ハチゴロウの戸島湿地

ハチゴロウの戸島湿地（はちごろうのとしましっち）は、兵庫県豊岡市の城崎町戸島にある市立の貴重な湿地です。この湿地は、環境保全を目的とした山陰海岸国立公園の特別地域として位置づけられており、国際的な環境保全の枠組みであるラムサール条約にも登録されています。円山川の下流域に位置し、その周辺の水田を含む生態系の拠点としても知られています。

湿地の特徴

戸島湿地は、面積約3.8ヘクタールにわたる湿地で、淡水と汽水、さらには山からの湧水が混ざり合った特異な環境です。ここには、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種IA類に指定されている特別天然記念物のコウノトリが生息しており、野生復帰を目指すプロジェクトの重要な地点となっています。

特に、この湿地はミズアオイという一年草が豊富に生育しており、その存在は日本でも有数の規模とされ、他にもヒメシロアサザやミズオオバコといった貴重な水生植物が見られます。これらの生物は、ナマズや鯉、ハゼといった多様な魚類の生育環境ともなり、湿地はまさに「生態系の宝庫」と言える場所です。

ハチゴロウの物語

2002年8月5日、湿地に訪れた一羽のコウノトリは「ハチゴロウ」と名付けられました。この雄のコウノトリは、長い旅を経て中国大陸から飛来したと言われ、豊岡市の人々に温かく迎え入れられました。彼は地域に5年近く留まり、周囲の人たちに愛され、コウノトリ復帰事業において重要な役割を果たしました。しかし、2007年2月6日から行方不明になり、その後、同月27日に死亡が確認されました。ハチゴロウは、生息地における野生コウノトリの行動についての貴重な情報を提供し、その影響は現在の活動にも受け継がれています。

施設情報

戸島湿地には、さまざまな施設が整備されています。管理棟や野鳥観察棟、人口巣塔などがあり、湿地の特性を理解しやすくするための仕組みが整っています。それぞれの湿地には、淡水湿地、汽水湿地、山際湿地があり、訪れる人々は多彩な生態系を観察することができます。また、これらの施設は地域の環境教育や観光にも利用されており、訪問者にとって貴重な体験場となっています。

利用情報

入場料は無料ですが、施設の運営には募金が役立てられています。開場時間は午前9時から午後5時までで、毎週火曜日と年末年始は閉場しています。アクセスは西日本旅客鉄道山陰本線の城崎温泉駅から徒歩約15分の距離で、豊岡市内でも訪れやすい立地です。

周辺環境

戸島湿地の周辺には、自然豊かな楽々浦湾や名湯として知られる城崎温泉などもあり、観光客にとって魅力的なスポットが点在しています。これらを組み合わせることで、一日を通して楽しむことができるでしょう。

このように、ハチゴロウの戸島湿地は自然と生態系の大切さを学ぶ場であり、多くの人々に愛されている場所です。

もう一度検索