ハッブル分類

ハッブル分類：銀河の姿を分類する体系

宇宙に広がる無数の銀河。その多様な形態を体系的に分類する手法として、ハッブル分類が広く用いられています。1926年、エドウィン・ハッブルによって提唱されたこの分類法は、銀河の形状に基づいて、大きく5つのタイプに分類します。それぞれのタイプは、さらに詳細な分類へと枝分かれし、銀河の多様性を捉えています。

5つの主要な銀河タイプ

1. 楕円銀河: このタイプの銀河は、その名のとおり楕円形をしており、内部構造は比較的単純です。球形に近いものから扁平なものまで形状は様々で、扁平率に基づいてE0からE7までのサブタイプに分類されます。E0はほぼ球形、E7は最も扁平な形状を示します。E7より扁平な楕円銀河は、現在のところ観測されていません。

2. 渦巻銀河: 中央部分にバルジと呼ばれる膨らみを持ち、その周囲を取り囲むように渦状腕が伸びているのが特徴です。バルジは回転楕円体の形状をしています。渦状腕の巻き込み具合によって、Sa、Sb、Sc…と分類され、Saは腕が tightly 巻き込まれ、Scになるにつれてゆるやかに広がっていきます。SaからScへと進むにつれて、バルジの大きさがディスク（円盤部）に対して相対的に小さくなっていきます。

3. 棒渦巻銀河: 渦巻銀河とよく似ていますが、バルジ部分が棒状になっている点が異なります。この棒状構造から渦状腕が伸びています。渦巻銀河と同様に、腕の巻き込み具合によってSBa、SBb、SBc…と分類されます。

4. レンズ状銀河: バルジは存在しますが、渦状腕のようなはっきりとした円盤部は見られない銀河です。S0と表記されます。渦巻銀河と楕円銀河の中間的な形態を持つと考えられています。

5. 不規則銀河: 上記4つのタイプに分類できない、形態が不規則な銀河です。Iと表記され、明確な対称性や構造を持たない、特異な形状を示す銀河が含まれます。

ハッブルの音叉図と銀河の進化

ハッブルは、これらの銀河タイプを音叉のような図表（ハッブルの音叉図）で表し、楕円銀河からレンズ状銀河を経て、渦巻銀河へと進化していくという仮説を提唱しました。この図表では、楕円銀河を早期型、渦巻銀河を晩期型と位置づけています。

しかし、近年の研究では、銀河の回転速度や星間ガスの存在量などの観点から、この進化モデルは必ずしも正しくないことが示されています。楕円銀河と渦巻銀河は、異なる形成過程を経て生まれた可能性が高いと考えられています。それでもなお、ハッブルの音叉図は銀河の形態を理解する上で重要な視覚的ツールであり、「早期型」や「晩期型」といった用語は、銀河の性質を簡潔に表現する際に今でも用いられています。

ハッブル分類を超えて

ハッブル分類は、銀河の形態を大まかに分類する上で有用なツールですが、銀河の複雑な構造や多様性を完全に捉えきれない面もあります。近年は、より詳細な分類体系や、スペクトルデータなどを用いた分類方法も開発され、研究が進められています。特に、銀河の衝突や合体といったダイナミックな現象は、ハッブル分類だけでは説明しきれない複雑さを含んでいます。 ハッブル分類は銀河研究の基礎であり、発展を続ける銀河研究の出発点と言えるでしょう。

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