ハドソン産業

ハドソン産業株式会社：模型史に名を刻んだ企業

ハドソン産業株式会社は、東京都豊島区に本社を置く企業として、かつてモデルガンやエアソフトガン、そしてペーパークラフトの製造・販売で広く知られていました。特に、他社とは異なる個性的なモデルガン製品群と、エアソフトガン分野における技術革新、そして外国製精密紙模型の輸入販売事業は、同社の大きな特徴でした。2009年末に遊戯銃部門を閉鎖したものの、模型事業は現在も継続されており、その歴史と功績は模型愛好家の間で語り継がれています。

モデルガン：個性と独自性の追求

ハドソン産業の前身である山田鍍金工業所は、純国産モデルガン第一号であるモーゼル軍用拳銃を製造したことで知られています。同社がモデルガン化した製品は、AK-47、Vz 61、PPSh-41など共産圏の武器や、マドセンM1950、マッドマックスショットガン、NAAミニデリンジャーなど、他のモデルガンメーカーではあまり取り扱われないマイナーな機種が多数含まれていました。これは、ハドソン産業の製品ラインナップが、他社とは一線を画す独自性を有していたことを示しています。また、十四年式拳銃は創業以来製造が続けられたロングセラー製品であり、同社の歴史を象徴する存在です。

多くのモデルガンはキャップ火薬を使用するブローバックモデルでしたが、発火性能は必ずしも高くなく、「発火は難しい」と明記された製品もあったようです。一方、M1ガーランドやM14には、ダミーカートリッジ仕様の観賞用モデルに加え、ガスブローバックシステムを採用したモデルも存在しました。このガスオペレーションシステムは、実銃の動作を再現することに重点を置いており、グリーンガスで作動する軽量カートリッジを使用することで、安定した排莢動作を実現しました。特に、M1ガーランドのクリップ（装弾子）エジェクション機能の再現は、当時実現不可能と言われていた技術であり、最終弾を撃ち終えると装弾子が「キーン」と音を立てて飛び出す実物同様の機構は、多くのモデルガン愛好家を魅了しました。

エアソフトガン：革新的なブローバックシステム

ハドソン産業は、モデルガンメーカーとしては早くからエアソフトガンにも取り組んでおり、1987年頃にはMADMAXショットガンやグリースガンをエア・ガスガン化していました。その後、ブローバックガスガンでエアソフトガン市場に再参入し、マルゼンの「アドバンスシュートシステム」の旧型・新型を採用した他、「BVS（バタフライバルブシステム）」と称する独自のブローバックシステムも開発しました。さらに、精密射撃用エアコッキングガン「プリシーダー」も開発・販売しており、エアソフトガン分野においても独自の技術と製品を提供していました。

ペーパークラフト：精密な模型の世界

ハドソン産業は、自社製品以外にも、艦船や商船などの精密紙模型を欧州から輸入・販売する事業も展開していました。これらの模型は高い精巧さで知られ、ペーパークラフト愛好家から高い評価を得ていました。

まとめ

ハドソン産業株式会社は、独自の製品群と技術革新によって、モデルガン・エアソフトガン業界に多大な貢献をしました。2009年の遊戯銃部門の廃業は残念ではありますが、その歴史と功績は、模型愛好家たちの記憶に深く刻まれています。現在も継続しているモデルシップ事業部による精密紙模型の輸入販売は、同社の模型事業の伝統を受け継ぎ、新たな展開を期待させるものです。

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