ハナコミカンボク

ハナコミカンボク (花小蜜柑木)について

ハナコミカンボク（花小蜜柑木、学名：Phyllanthus liukiuensis）は、コミカンソウ科に分類される植物で、日本の沖縄にのみ自生しています。この植物は、外観がコミカンソウに似ていますが、実際には小低木の樹木であり、その特異な生育環境と限られた分布が特徴です。

特徴

ハナコミカンボクは、高さ20から40センチメートルになる落葉性の小低木で、全体が無毛であるのが印象的です。茎は多くの分枝を持ち、小枝は稜形で、直径約1ミリメートルです。枝先からは側方に伸びる落下枝が多数広がり、これらの枝は長さ7から10センチメートル、直径は約0.5ミリメートルと小型です。

葉は左右二列に互生し、密集して配置されており、形状は羽状複葉に似た外観を持っています。托葉は約1ミリメートルの三角形で、葉は卵状で、または楕円形で無柄です。葉の大きさは長さで7から13ミリメートル、幅で4から6ミリメートルです。葉の膜質は薄く、先端は鈍く尖ったり丸くなっており、基部は左右不対称に丸まるか、少し心形にくぼんでいることが多いです。特に、葉の裏側はわずかに白っぽくなるのも特徴的です。

花は単性で、腋生であり、落下枝の下に出現します。雄花は4枚の萼片と2つの雄蕊を持ち、4個の腺体は倒円錐形です。一方、雌花には6枚の卵形の萼片があり、先端は丸みを持っています。子房は球形で、表面は滑らかな質感をしています。また、花柱は3本あり、それぞれの先端は2つに分かれていて、腺体は6個存在します。果実は球形で、直径は約3ミリメートルで、こちらも滑らかな表面を持っています。

分布と生育環境

ハナコミカンボクは、沖縄中部の万座毛周辺にのみ自生している、日本固有の植物です。この植物は海岸の岩場で育ち、特定の環境に依存しています。かつては、中国南部に分布するPhyllanthus leptocladosと同一視されていましたが、現在では沖縄の自生種が独立した種として認識されています。台湾には分布していないため、沖縄地域にのみ見られるこの珍しい特性は、植物地理学的にも重要性が高いとされています。

保全状況評価

ハナコミカンボクの自生地である万座毛周辺は、「万座毛石灰岩植物群落」として沖縄県に指定された天然記念物に指定されています。さらに、沖縄県のレッドデータブックでは、絶滅危惧IA類（CR）に分類されており、この植物の保護活動が求められています。この植物は保護地に存在しながら、開発の影響によって数が減少しているとされています。

2024年現在、中国南部に生息するPhyllanthus leptocladosと沖縄中部のハナコミカンボクは異なる種として扱われており、その分布域の限られた特殊性が注目されています。種の保存に関する取り組みが引き続き求められる状況にあります。

出典

• - 初島住彦『琉球植物誌』（追加・訂正版）沖縄生物教育研究会、1975年。
• - 沖縄県文化環境部自然保護課（新城和治・伊波善勇）『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編） ―レッドデータおきなわ―』沖縄県文化環境部自然保護課、2006年、105頁。

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