コミカンソウ科

コミカンソウ科 (Phyllanthaceae) について



コミカンソウ科は、被子植物に属する科であり、APG植物分類体系において独立した科として扱われています。従来の分類では、トウダイグサ科のコミカンソウ亜科とされることが多かったグループです。しかし、近年の分子系統学的研究により、ツゲモドキ連などを除いたグループがコミカンソウ科としてまとめられるようになりました。

分布と特徴



コミカンソウ科は、熱帯から亜[[熱帯]]地域を中心に、約56属1700種以上が分布しています。その形態は多様で、木本のものもあれば草本のものもあり、一年草であるコミカンソウのように日本にも自生する種も見られます。葉は単葉ですが、一部の種ではマメ科植物のように就眠運動を行うものが存在します。

分類の見直し



コミカンソウ科の分類は、分子系統学的な研究によって大きく変化しています。特に、2006年に発表された Kathriarachchiらの研究では、オオシマコバンノキ属、カンコノキ属、Reverchonia属、アマメシバ属がコミカンソウ属の派生的な系統に含まれることが示唆されました。この結果を受け、これらの属をコミカンソウ属に含めるという見解が支持されるようになり、コミカンソウ属は1000種を超える巨大なグループとなりました。

日本においても、この分類の見直しが検討され、福島大学の黒沢高秀氏によって、日本産のオオシマコバンノキ属やカンコノキ属の植物がコミカンソウ属に統合される提案がなされました。しかし、Govaerts (2019) のデータベースでは、オオシマコバンノキ属やカンコノキ属は依然として独立した属として認められています。ただし、日本産の種に関しては、黒沢氏による新しい分類名が一部で採用されています。

主な属



コミカンソウ科には、以下のような属が含まれます(括弧内はAngiosperm Phylogeny Websiteでシノニムとされるもの)。

Actephila
Amanoa
Andrachne
Antidesma (ヤマヒハツ属)
Apodiscus
Aporosa (あるいは Aporusa)
Ashtonia
Astrocasia
Baccaurea (ランバイ属)
Bischofia (アカギ属)
(Breynia タカサゴコバンノキ属 (オオシマコバンノキ属)) → Phyllanthus
Bridelia マルヤマカンコノキ属 (カンコモドキ属)
Celianella
Chascotheca
Chonocentrum
Chorisandrachne
(Cleistanthus) → Bridelia
Croizatia
Dicoelia
Didymocistus
Discocarpus
Flueggea
Glochidion (カンコノキ属)
Gonatogyne
Heterosavia
Heywoodia
Hieronyma (あるいは Hieronima)
Hymenocardia
Jablonskia
Keayodendron
Lachnostylis
Leptonema
Leptopus
Maesobotrya
Margaritaria (アカハダコバンノキ属)
Martretia
Meineckia
Notoleptopus
Pentabrachion
Phyllanthopsis
Phyllanthus (コミカンソウ属)
Plagiocladus
Poranthera
Protomegabaria
Pseudolachnostylis
Pseudophyllanthus
Richeria
(Sauropus アマメシバ属) → Phyllanthus
Savia
Securinega (ヒトツバハギ属)
Spondianthus
(Synostemon) → Phyllanthus
Tacarcuna
Thecacoris
Uapaca (ウアパカ属)
Wielandia


日本に分布する主な種



日本には、コミカンソウをはじめ、マルヤマカンコノキ、アカギ、ヒトツバハギなど、複数の種が分布しています。これらの種は、暖帯から亜[[熱帯]]地域にかけて見られ、多様な環境に適応しています。

研究の進展



コミカンソウ科の分類は、分子系統学的な解析によって日々更新されています。特に、コミカンソウ属の範囲の拡大や、属間の関係性の解明は、今後の研究によってさらに明らかになるでしょう。

参考文献



Govaerts R. (ed). (2019). WCSP: World Checklist of Selected Plant Families (version Aug 2017).
Kathriarachchi, Hashendra; Samuel, Rosabelle; Hoffmann, Petra; Mlinarec, Jelena; Wurdack, Kenneth J.; Ralimanana, Hélène; Stuessy, Tod F.; Chase, Mark W. (2006).
Stevens, P. F. (2001 onwards). Angiosperm Phylogeny Website.
黒沢高秀 (2016). 日本産オオシマコバンノキ属とカンコノキ属のコミカンソウ属(ミカンソウ科)への合一.
* 佐竹義輔原寛、亘理俊次、冨成忠夫 (1999). 日本の野生植物. 木本 1.

この解説が、コミカンソウ科の理解に役立つことを願っています。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。