ハナムグラ

ハナムグラ（Galium tokyoense）

ハナムグラは、アカネ科ヤエムグラ属に分類される多年草です。学名が示す通り、東京で発見され、牧野富太郎によって命名されました。

特徴

ハナムグラは、横に広がるように生育し、30cmから60cmほどの高さにまで成長します。茎には四つの稜があり、下向きの刺状毛が生えているのが特徴です。葉は4枚から6枚が輪生し、倒披針形または狭長楕円形をしています。葉の縁や裏面にも刺状毛が見られます。

花期は5月から7月で、茎の上部や葉の付け根から枝を出し、白い小さな花を多数咲かせます。花冠は杯状で、4つに裂けています。果実は楕円形で、表面は滑らかです。

分布と生育環境

ハナムグラは、日本国内では東北地方南部、関東地方、中部地方に分布しており、河川敷の湿地や湿った草原に生育しています。特に利根川の氾濫原では、泥水を被っている様子がよく見られます。国外では、朝鮮半島や中国東北部にも分布しています。

名前の由来

ハナムグラの名前は、牧野富太郎がその美しい白い花にちなんで名付けました。ムグラは草むらや藪を意味します。種小名のtokyoenseは、「東京産の」という意味で、牧野自身が東京で採集した標本をもとに新種記載されました。

保全状況

ハナムグラは、環境省レッドリストで絶滅危惧II類 (VU) に指定されており、その生育状況が危惧されています。かつては絶滅危惧IB類に指定されていましたが、2000年のレッドデータブックで評価が見直されました。生育地の減少や環境の変化が、ハナムグラの生存を脅かしています。

ギャラリー

(ギャラリーの画像は省略)

脚注

(脚注は省略)

参考文献

高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 春』山と溪谷社、2002年
矢原徹一他監修『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』山と溪谷社、2015年
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』平凡社、2017年
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館、2017年
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList）

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