ハノーヴァー・スクエア・ルームズ

ハノーヴァー・スクエア・ルームズ

ハノーヴァー・スクエア・ルームズ、またはクイーンズ・コンサート・ルームズは、1774年にロンドンのハノーヴァー・スクエアに設立された歴史ある音楽会場です。この場所は、音楽演奏のみならず舞踏会や仮面舞踏会といった社交イベントも行われ、1900年に取り壊されるまで多くの人々に愛され続けました。ここでは、ヨハン・クリスティアン・バッハやカール・フリードリヒ・アーベルといった著名な音楽家によるコンサートが開催されていました。

歴史的背景

設立当初、スイス出身の音楽家ジョヴァンニ・ガッリーニは、バッハやアーベルと協力してこの会場を作り上げました。彼は後に、彼らから建物を買い取り、さらに多様な音楽イベントを展開します。特に、バッハの没年である1782年まで開催されたバッハ・アーベル・コンサートが有名です。また、貴族たちによる「古楽」の演奏会も行われていました。

ヨハン・クリスティアン・バッハの死後には、プロフェッショナル・コンサートが開催され、特にヴィルヘルム・クラーマーを中心に演奏活動が続きました。ここで行われたコンサートは、同時期のヨハン・ペーター・ザーロモンのイベントと競い合っていました。特に1786年からはザーロモン自身のコンサートも行われており、ロンドンの音楽シーンにおいて重要な役割を果たしていました。

1790年にエステルハージ家の楽団が解散した後、楽長フランツ・ヨーゼフ・ハイドンはウィーンに戻りますが、この機会を利用してザーロモンは彼をロンドンに招きました。ハイドンはロンドン滞在中に、同時期に書かれた交響曲の中で、93番から101番までの9曲をこのハノーヴァー・スクエア・ルームズで初演しました。これらの作品は、彼の「ロンドン交響曲」として広く知られています。

フィルハーモニック協会の時代

1830年、フィルハーモニック協会は本拠地をアーガイル・ルームズからハノーヴァー・スクエア・ルームズに移します。ここでは1833年から1869年までの間、フィルハーモニック・コンサートが開催されました。短期間、ヘイマーケット国王劇場も使用されましたが、やはりハノーヴァー・スクエア・ルームズが彼らの活動の舞台として重要でした。

終焉

しかし、1900年にこの名門音楽会場は運命を迎え、取り壊されることとなります。ハノーヴァー・スクエア・ルームズがなくなったことで、多くの音楽ファンはその思い出と思いを胸に持つこととなりました。この場所は、ロンドンの音楽史における重要な一章として、後の世代に語り継がれています。

迫力ある音楽と華やかな社交の場であったハノーヴァー・スクエア・ルームズは、その歴史の足跡を音楽愛好者に与え続けています。

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