ヨハン・ペーター・ザーロモン

ヨハン・ペーター・ザーロモン（Johann Peter Salomon）

ヨハン・ペーター・ザーロモンは1745年2月20日にボンに生まれ、1815年11月28日にロンドンで亡くなったドイツ出身の音楽家です。彼はヴァイオリニスト、作曲家、指揮者、そして音楽興行師として幅広く知られています。彼の音楽キャリアは、多岐にわたる才能を示しており、時代の音楽シーンに大きな影響を与えました。

生涯と音楽キャリア

ザーロモンはボンの宮廷楽団でヴァイオリンを演奏しながら音楽キャリアをスタートしました。その後、プロイセン王子ハインリヒの楽団ではコンサートマスターとしての重要な役割を果たしました。1780年代初頭にロンドンに移住すると、彼は作曲家として活動すると同時に、弦楽四重奏団でヴァイオリンを演奏し、1781年3月23日にはコヴェント・ガーデンでロンドンデビューを果たしました。

ザーロモンは、音楽興行師としての活動で特に知られています。1780年代のロンドンでは、同時期の著名なヴァイオリニスト、ヴィルヘルム・クラーマーが主催するプロフェッショナル・コンサートが開かれていました。そこでザーロモンは1786年から独自のコンサートをハノーヴァー・スクエア・ルームズで開催し、新たな音楽イベントを提供しました。

1790年にエステルハージ家の楽団が解散し、楽長のフランツ・ヨーゼフ・ハイドンはウィーンへ移動することになります。ザーロモンはこの状況を利用し、ハイドンをロンドンに招待しました。ハイドンは1791年から1792年、そして1794年から1795年までロンドンを訪れ、ザーロモンのコンサートで演奏するために数多くの交響曲を作曲しました。これらの作品は「ザーロモン交響曲」または「ロンドン交響曲」として知られており、ザーロモンはこれらの楽曲の権利を持ち、また室内楽の形式に編曲して演奏することでも知られています。

さらに、彼はモーツァルトの交響曲第41番に「ジュピター」という名前を付けたとも言われています。彼の音楽的業績は多岐にわたり、同時代の他の音楽家たちとの関係も重要でした。

ザーロモンは1813年にフィルハーモニック協会の創立メンバーの一人としても活躍しました。ロンドンで落馬事故により亡くなり、ウェストミンスター寺院の回廊に埋葬されています。彼の死はボン時代からの親しい友人であるベートーヴェンに大きな悲しみをもたらし、「彼は私が子どもの頃から知っている中で最も偉大な心を持つ人だった」との言葉を残しました。

また、作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの母レア・ザーロモンは彼の親戚であり、音楽界での結びつきが示唆されています。2012年にはロイヤル・フィルハーモニー協会と英国管弦楽団協会により、「ザロモン賞」が設立され、彼の影響力を後世に伝える取り組みがされています。彼の業績は今なお、多くの音楽ファンや学者によって評価されています。

もう一度検索