ハマー・デロバート

ハマー・デロバート：ナウルを導いた初代大統領

ハマー・デロバート（1922年9月25日 - 1992年7月15日）は、ナウルの政治家であり、同国初代大統領としてその名を知られています。彼は、ナウルの政治と経済に大きな影響を与えた人物です。

生い立ちと政治 करियर

デロバートは、ナウルの首長の家系に生まれました。1951年に酋長会議に代わるナウル地方政府評議会が設立されると議員に選出され、1955年には議長に就任しました。彼のリーダーシップの下、ナウルは独立運動を展開し、1967年にはリン鉱石事業を2000万オーストラリア・ドルで評議会に譲渡させ、ナウルの経済的自立の基礎を築きました。

1968年1月31日、ナウルは独立を果たし、デロバートは初代大統領に就任しました。彼は地方評議会議長と主席酋長の職も兼任し、国政と伝統的権威の両方を掌握しました。

リン鉱石による富と分配

大統領として、デロバートはリン鉱石から得られる富を国民に還元することに尽力しました。リン鉱石の収入は政府と地方評議会に分配され、国民は採掘場に所有する土地に応じて地方評議会から使用料を受け取ることができました。ナウルでは富の集中が起こりにくく、多くの住民が土地を所有していたため、この方法によって比較的平等な分配が実現しました。その結果、ナウルは世界有数の国民所得を誇る国となりました。

課題と晩年

しかし、デロバートの時代には、リン鉱石枯渇後の対策が十分に講じられませんでした。彼の死後、資源が枯渇したナウルは深刻な経済的困難に見舞われることになります。

デロバートは大統領として行政を、評議会議長として富の分配と伝統的権威を掌握していましたが、彼の体制に対する不満も存在しました。1976年には、バーナード・ドウィヨゴ率いる改革派が議会の過半数を占め、デロバートは一時的に下野しました。しかし、彼は評議会議長の地位に留まったため、ドウィヨゴ政権は運営に行き詰まり、1978年5月にデロバートが再び大統領に返り咲きました。その後、一時的な下野はあったものの、1989年8月17日まで、彼は政権を維持し続けました。

1992年7月15日、デロバートはメルボルンの病院で糖尿病により死去しました。彼の死は、ナウルの歴史における一つの時代の終わりを象徴する出来事でした。

ハマー・デロバートは、ナウルの独立と経済発展に大きく貢献した人物として記憶されています。しかし、資源依存からの脱却という課題を残したこともまた、彼の功績と合わせて語られるべきでしょう。

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