ハムリーズ

ハムリーズ：世界最古の玩具店からグローバル企業へ、そして日本の足跡

ハムリーズは、1760年、ウィリアム・ハムリーによってロンドンで創業された、世界最古の玩具店として知られています。当初は「ノアの方舟」という店名で、ハイ・ハルボーンに開店した小さな店でしたが、その後、リージェント・ストリートに移転し、現在では年間500万人もの観光客が訪れる、世界的に有名な観光名所へと成長しました。

創業から世界展開へ

ハムリーズの歴史は、創業者のウィリアム・ハムリーから始まり、家族経営として受け継がれてきました。1837年には、ハムリーの孫の代には、王室を含む多くの貴族階級が顧客となり、その名を広く知られるようになりました。リージェント・ストリートへの移転(1881年)は、ハムリーズの成長における重要な転換期であり、その後も店舗拡大を続け、1938年にはジョージ5世の妃メアリー・オブ・テックから、そして1955年にはエリザベス2世から、王室御用達として認められました。第二次世界大戦中の空襲にも耐え抜き、その歴史は長く、時代を超えた人気を物語っています。

2003年にはアイスランドの投資会社Baugurグループに買収されましたが、同グループの財政問題により、ランズバンキ銀行を経て、2012年にはフランスの玩具小売会社Groupe Ludendoが買収。現在もGroupe Ludendo傘下で世界中に店舗を展開しています。多くの企業が所有者名にアポストロフィを使用する中、ハムリーズは意図的にアポストロフィを使用しない点も特徴的です。

ロンドンの旗艦店と多様な店舗展開

ハムリーズの象徴であるロンドンの旗艦店は、リージェント・ストリートに位置し、7階建て、総面積5,000㎡を超える巨大な店舗です。各階は異なるテーマで構成され、伝統的なぬいぐるみから最新のゲーム、模型、科学キットなど、幅広い品揃えを誇ります。かつてはスパイス・ガールズのグッズも取り扱っていました。

イギリス国内には、空港や駅、アウトレットモールなど、さまざまな場所に小型店舗を展開し、多様な顧客層へのアプローチを図っています。しかし、過去にはヨークやシェフィールドなど、地方都市への出店も試みましたが、高い賃料や販売不振により短期間で撤退した例もあります。

グローバル展開と近年の動向

ハムリーズは、イギリス国外への積極的な進出も行っており、ヨーロッパ各国（アイルランド、スウェーデン、ノルウェーなど）や中東（ヨルダン、ドバイ）、アジア（インド、マレーシア、フィリピンなど）アフリカ（南アフリカ）など、世界各地に店舗を展開しています。特に近年は、新興国市場への進出を加速させており、そのグローバルな存在感を強めています。しかし、デンマークでの店舗展開は失敗に終わっています。

日本における展開と撤退

日本においては、2018年にバンダイナムコアミューズメントとフランチャイズ契約を締結し、横浜と博多に店舗をオープンさせました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2022年には両店舗とも閉店、フランチャイズ契約も解消されました。期間限定店舗として東京駅や川崎にも出店していました。

オンライン戦略

ハムリーズは、1990年代からウェブサイトを運営しており、世界中への通信販売を行っています。高価格帯戦略を採り、低価格競争には参加しない方針を明確にしています。ウェブサイトの不具合により、顧客が大幅な割引を受けることができたという出来事もあります。

まとめ

ハムリーズは、250年以上の歴史を持つ老舗玩具店として、世界中で愛され続けてきました。しかし、その歴史の中には、成功と失敗、拡大と縮小、そして時代の変化への対応という、さまざまな局面がありました。今後も世界的な玩具市場における競争は激化していくと考えられますが、ハムリーズは独自のブランド力と商品戦略を活かし、その歴史と伝統を守りながら、未来に向けて進化を続けることが期待されます。

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