ハリウッド・ルーズベルト・ホテル

ハリウッド・ルーズベルト・ホテル：ハリウッドの歴史を刻む伝説の地

アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市、ハリウッド大通りに面して建つハリウッド・ルーズベルト・ホテルは、1927年5月15日にその華麗な歴史の幕を開けました。このホテルは、スペイン植民地リバイバル様式の美しい建築が特徴であり、第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトに敬意を表して命名されました。建設資金は、当時の映画界を牽引したダグラス・フェアバンクス、メアリー・ピックフォード、ルイス・B・メイヤーといった錚々たる顔ぶれを含むグループによって提供されました。開業当時、約250万ドル（現在の価値でおよそ3360万ドル相当）の建設費が投じられ、12階建ての建物にはスイートを含む300室の客室が設けられました。現在はトンプソン・ホテルズによって運営されています。

開業以来、この歴史あるホテルは時代と共に変化を遂げてきました。特に1986年の大規模な改装では、2階のロビーにハリウッドの輝かしい歴史に関する展示スペースが設けられ、訪れる人々にその足跡を伝えています。さらに2005年には、著名なデザイナー、ドッド・ミッチェルの監修のもと、再び大幅な刷新が行われ、伝統と現代的な魅力が融合した空間へと生まれ変わりました。

ハリウッド・ルーズベルト・ホテルは、単なる宿泊施設という枠を超え、ハリウッドの文化と社交において特別な地位を確立しています。数多くの映画作品の舞台となり、業界関係者の集まる社交の場として、その存在感は揺るぎません。近年では、メインロビーに位置するスタイリッシュなナイトクラブ「Teddy's」が人気を集め、若い世代のハリウッド関係者からも注目されています。

映画史における重要な舞台

このホテルがハリウッドの歴史に刻んだ最も輝かしい一ページは、1929年に開催された第1回アカデミー賞授賞式の会場となったことです。記念すべき最初の式典は、ホテルのブロッサム・ボールルームで行われましたが、収容人数が約250名と小規模であったため、第2回以降はより大きな会場へと移っていきました。しかし、ユニークなことに、アカデミー賞のパロディとして知られるラジー賞（ゴールデンラズベリー賞）の授賞式は、例年このホテルで開催されています。

多くの伝説的なスターたちも、このホテルと深い関わりを持っています。女優のフランシス・ファーマーは1950年代初頭にテレビ番組出演後にこのホテルの主賓として迎えられました。また、マリリン・モンローは、モデルとしてキャリアを積み始めた頃に約2年間このホテルに滞在しました。モンローの最初の雑誌用写真撮影は、かつてホテルの裏にあったプールの飛び込み板の上で行われたことは有名なエピソードですが、この飛び込み板は現在はありません。現在のプールは、アーティストのデイヴィッド・ホックニーが描いた美しい水中壁画が特徴となっています。

語り継がれる幽霊譚

ハリウッド・ルーズベルト・ホテルは、「幽霊が出るホテル」としても知られ、数多くの心霊現象に関する噂が絶えません。中でも有名なのは、かつて滞在していた著名人にまつわる話で、マリリン・モンローやモンゴメリー・クリフトの霊が出没するという話がよく聞かれます。マリリン・モンローに関しては、昼夜を問わずホテル内をさまよったり、プールサイドに水着姿で現れたり、地下1階の鏡にその姿が映り込むといった具体的なエピソードが語られています。その他にも、青い服を着た少女の霊や、原因不明の寒気がする場所（コールド・スポット）、写真に写り込むオーブ、そしてホテルの交換手にかかってくる正体不明の電話など、様々な怪談がホテルのミステリアスな雰囲気を一層引き立てています。

スクリーンに登場する姿

映画産業と深く結びついたこのホテルは、しばしばロケーション撮影の場所としても選ばれています。これまでに、『ビバリーヒルズ・コップ2』（1987年）、『あの頃ペニー・レインと』（2000年）、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』（2002年）、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』（2003年）、『ハリウッド的殺人事件』（2003年）といった数多くの作品で、その荘厳な姿を見ることができます。

ハリウッド・ルーズベルト・ホテルは、その豪華な建築、輝かしい歴史、そして数々の伝説とともに、今もなおハリウッドの中心で特別な光を放っています。映画界の重要な出来事の舞台となり、多くのスターに愛され、そして時に不思議な物語に彩られたこのホテルは、訪れる人々にハリウッド黄金期の華やかさと、時代を超えた魅力を伝えています。

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