ハリカルナッソス

ハリカルナッソス：古代都市の栄光と謎

トルコのボドルムに位置するハリカルナッソスは、古代ギリシア世界において重要な都市でした。エーゲ海の美しい海岸線に築かれたこの都市は、その豊かな歴史と、世界の七不思議の一つであるマウソロス霊廟で知られています。

建立と初期の歴史

ハリカルナッソスは、ドーリア人によって建設されたとされています。メドゥーサの頭やギリシア神話の登場人物が描かれた貨幣から、トロイゼーンやアルゴスといった都市がその母都市であったと推測されています。初期のハリカルナッソスは、コス島、クニドス、リンドスなどと共にドーリア人によるヘクサポリス同盟に属していましたが、ある競技大会での出来事をきっかけに脱退しています。

紀元前5世紀には、カリア王国のアルテミシア1世がハリカルナッソスを統治しました。彼女はサラミスの海戦でペルシア軍を指揮したことで有名です。その後、ハリカルナッソスは幾多の支配者を迎え入れ、その歴史は複雑さを増していきます。歴史家ヘロドトスの故郷としても知られており、彼の生誕や、詩人パニュアッシスとの関係も、この都市の歴史に彩りを添えています。

アレクサンドロス3世とマウソロス霊廟

紀元前4世紀、マケドニア王アレクサンドロス3世はペルシア帝国との戦いでハリカルナッソスを包囲しました。激しい攻防戦の末、アレクサンドロス3世は勝利を収めましたが、この戦いはハリカルナッソスに大きな損害を与えました。

ハリカルナッソスの象徴であるマウソロス霊廟は、紀元前4世紀に建設された壮大な墓廟です。その規模と豪華さは当時の人々を驚かせ、世界の七不思議の一つに数えられました。マウソロス霊廟は、石壇、周柱、ピラミッド型の屋根、そしてクアドリガ（四頭立て戦車）などから構成されており、大理石の彫刻で美しく装飾されていました。現在、その遺構は一部しか残っていませんが、発掘調査によってその壮大さが明らかになっています。発掘された遺物は大英博物館などに収蔵されており、当時の技術力の高さや芸術性を示す貴重な資料となっています。霊廟の復元図は現在も研究されており、様々な説が提唱されています。

アレクサンドロス3世による征服後、ハリカルナッソスはマウソロス一族の支配下に置かれました。その後、プトレマイオス1世もこの地に関与し、ギュムナシオンなどの建造物を建設しました。しかし、アレクサンドロス3世の包囲戦による被害は大きく、ローマ時代のキケロはハリカルナッソスを廃墟に近い状態だったと記しています。

発掘と研究

ハリカルナッソスの遺跡はボドルム市内で見つかっていますが、多くは地中に埋まっています。市壁、神殿、劇場などの位置は特定されていますが、発掘調査は現在も続けられています。マウソロス霊廟の発掘は19世紀に始まり、その設計や構造、装飾について多くの情報が得られました。しかし、その復元作業は難しく、様々な復元図が提案されています。

著名な人物

ハリカルナッソスは、歴史家ヘロドトスや詩人パニュアッシスなど、著名な人物を輩出した都市でもあります。彼らの人生や活動は、ハリカルナッソスの歴史を語る上で欠かせない要素となっています。

まとめ

ハリカルナッソスは、古代ギリシア世界における重要な都市として、その栄光と悲劇の歴史を刻み続けてきました。マウソロス霊廟をはじめとする遺跡は、その歴史を現在に伝えており、多くの研究者や観光客を魅了し続けています。今後の発掘調査や研究によって、この古代都市のさらなる謎が解き明かされることが期待されています。

もう一度検索