ハリファ・ハフタル

ハリファ・ベルカシム・ハフタル

リビアの陸軍元帥ハリファ・ベルカシム・ハフタル（Khalifa Belqasim Haftar）は、1943年頃にリビアのアジュダービヤーで生まれ、カダフィ政権下で軍人としてのキャリアをスタートしました。彼は1969年のクーデターに参加し、カダフィ政権の樹立に寄与した若手士官の一人として注目されましたが、後にカダフィ政権と敵対することになります。

彼の軍歴は1973年の第四次中東戦争での経験や、1986年から1987年にかけてのチャドとの紛争を通じてさらに際立ちます。この戦争では、彼はリビア軍の司令官として戦ったものの、捕虜となり、その間にカダフィ政権に対抗する動きを密かに模索しました。1990年にアメリカで解放された後は、そこに定住し、アメリカ市民権を取得しました。

リビア内戦とハフタルの復帰

カダフィ政権の崩壊を目指して、2011年のリビア内戦の際には帰国し、カダフィ打倒の武装蜂起に参加しました。彼は初期の段階で軍司令官としての地位を得ましたが、その後、リビアの新政権における役割が不安定であったため、一時的に再度アメリカに戻ります。

2014年には、リビア国民軍（LNA）を編成し「尊厳作戦」を宣言し、テロ組織やイスラム教支持派との戦闘を展開しました。彼は国民議会からの支配権を確立し、リビアの東部地域での軍事的支配を強化していきます。特に、彼の指導下でLNAはベンガジを制圧し、地域での権力を拡大していきました。

暗い影と批判

とはいえ、ハフタルの指導には多くの批判が集まります。彼は反対派の弾圧や戦争犯罪の疑惑に直面しており、特に捕虜の処刑を命じたとされる場面が報道されるなど、彼の軍勢による市民への人権侵害が懸念されています。国際社会からの制裁や非難も強まり、ハフタルは「リビアにおける平和の最大の障害」とされることも少なくありません。

国際的な影響

ハフタルは、アラブ首長国連邦やエジプトといった国から支持を受けつつ、ロシアとも接近し、武器供給や軍事支援を求めています。彼の軍事行動は、国際社会の関心を集め、特にアメリカとの関係ではその戦略的な役割に注目が集まっています。

2021年には自身の大統領選挙に立候補する意向を示し、リビアの政治情勢に新たな局面をもたらす可能性が指摘されています。

プライベートライフ

ハフタルは家族を持ち、アメリカ合衆国にも多くの親族が住んでいます。彼はアラビア語に加え、英語やロシア語などが堪能で、国籍はリビアとアメリカの二重国籍です。健康問題も抱えており、2018年には脳卒中で昏睡状態になりますが、その後回復の兆しを見せました。

彼の軍事的なキャリアや、リビアにおける政治的影響力も相まって、今後の動向には注目が必要です。

もう一度検索