ハルダンゲル橋

ハルダンゲル橋

ハルダンゲル橋（ノルウェー語: Hardangerbrua、英語: Hardanger Bridge）は、ノルウェー王国の南西部、ホルダラン県に位置するハルダンゲル・フィヨルドに雄大に架かる吊橋です。資料によっては「ハダンゲル橋」や「ハーダンガー橋」とも記されることがあります。

概要

この橋は、ハルダンゲル・フィヨルドを横断し、北岸に位置するウルヴィック自治区のヴァラヴィック地区と、南岸のウレンスヴァング自治区にあるブ地区とを繋いでいます。橋へのアクセスは、両岸ともにヴァラヴィック・トンネル内に設けられた円形の交差点（ラウンドアバウト）を経由します。橋梁構造としては吊橋を採用しており、自動車の通行のための2車線に加え、歩行者や自転車が安全に通行できる専用道も備えています。

その規模は非常に大きく、橋全体の長さは1,380メートルに及びます。特に、主塔間に張られたメインケーブルが支える中央径間は1,310メートルという長さを誇ります。主塔の高さは海抜200メートルに達し、その下を船舶が航行するための桁下航路の高さは55メートルが確保されています。橋桁自体の幅は18.5メートルです。

来歴

ハルダンゲル・フィヨルドを渡る主要な手段は、長らくフェリーによるものでした。特に、1976年にはブリムネスとブルーラヴィクを結ぶ国道フェリー航路が開設され、この地域の交通を支えていました。

橋の建設構想自体は古く、1937年には既に存在していました。この年、アメリカ合衆国でゴールデン・ゲート・ブリッジが完成したことに着想を得た発明家、Aamund K. Buが、ベルゲンの地元紙であるベルゲンズ・ティーデンデ紙上で、ヴァラヴィックとブの間における吊橋の必要性を強く提唱する記事を発表しています。この提唱が、後の建設計画の礎となったと言えます。

長年の議論を経て、2006年にノルウェーの国会にあたるストーティングが、ついにハルダンゲル橋の建設を正式に承認しました。これを受け、建設工事は2009年2月26日に開始されました。4年間の建設期間を経て、橋は2013年にその姿を現し、同年8月17日に盛大な式典とともに正式に開通しました。これにより、フィヨルドを渡る手段としてフェリーに代わる、より恒久的な交通網が確立されたのです。

交通アクセス・周辺

ハルダンゲル橋は、ノルウェー第2の都市であるベルゲンからは、およそ東へ80キロメートルほどの位置にあります。周辺地域はフィヨルドの壮大な景観が広がり、観光地としても知られています。

橋から南へ約40キロメートルほど進むと、断崖から突き出たような奇岩として世界的に有名なトロルトゥンガ（Trolltunga）へのアクセス地点があります。また、橋から南へ約10キロメートルほどの距離にあるヒンサルヴィーク（Kinsarvik）という町には、歴史あるヒンサルヴィーク教会や、子供向けの遊園地であるミッケルパルケンなどがあり、訪れる人々に様々な楽しみを提供しています。

参考文献

塚本正巳・塚本紀子『ノルウェー5大フィヨルド自由旅行必携ガイドブック』 愛育出版、2017年5月。ISBN 978-4-909080-05-9。

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、ハルダンゲル橋に関連するより多くのメディアファイルが収められたカテゴリが存在します。

もう一度検索