ハルヲフォンレコード

ハルヲフォンレコード

『ハルヲフォンレコード』は、日本のミュージシャンである近田春夫と、彼が率いるバンド「ハルヲフォン」によって制作された二作目のオリジナルアルバムです。1977年（昭和52年）9月に発売されました。

アルバム概要

前年にリリースされたデビューアルバム『COME ON, LET'S GO』に続く本作は、彼らのキャリアにおける重要なステップとなりました。アルバムタイトルの「ハルヲフォンレコード」という名称は、実在するレコード会社の名前からインスピレーションを得ています。具体的には、かつて作曲家の遠藤実氏が社長を務めていた『ミノルフォンレコード』（1968年〜1972年）や、国際的に知られるレーベルである『パーロフォン』、『グラモフォン』といった名称が由来とされています。これは、音楽を記録し、届ける「レコード会社」そのものへの言及であり、本作の内容を暗示するかのようです。

アルバムのレコーディングに参加したメンバーは、リーダーである近田春夫（ボーカル、キーボード）、恒田義見（ドラムス）、高木英一（ギター）、小林克己（ベース）の4人。これは、デビューアルバム『COME ON, LET'S GO』と同じ不動のラインナップでした。彼らはこの編成で、多様な音楽スタイルに挑んでいます。

特筆すべき点として、収録曲の一つである「TVエンジェル」には、ゲストコーラスとして「クリケッツ」が参加しています。クリケッツは、当時同じキングレコードに所属しており、前年の1976年に鈴木邦彦プロデュースによるシングル『私のベイビーボーイ』でデビューした、小学生で構成されたグループでした。

収録曲の中には、アルバムに収録されたバージョンが、シングル盤とは異なるものも含まれています。「プラスチック・ムーン」は、1976年にリリースされたシングル『恋のT.P.O.』のB面に収録されたバージョンとは別テイクとなっています。また、アルバムに収録されている「恋のパレット (ラヴ・カラー)」の作詞家クレジットにある「佐藤憲吉」という名前は、実は著名なイラストレーターであるペーター佐藤（1945年〜1994年）の本名であるという興味深い事実も知られています。

本作は発表から長い年月を経ていますが、繰り返し再発売されており、現在でも全曲を聴くことが可能です。初めてCD化されたのは1989年（平成元年）。その後、2004年にも再びCDとしてリリースされました。

収録曲リスト

アルバムには以下の楽曲が収録されています。

1. グローリアのうわさ （3分05秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
2. TVエンジェル （2分59秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
3. ロックン・ロール・マイ・ウェイ （5分34秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
4. 恋のパレット (ラヴ・カラー) （3分41秒）
作詞：佐藤憲吉、作曲・編曲：近田春夫
5. あの頃 - ジョカへ （5分24秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
6. 十年早いぜ （3分12秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
7. 恋の昔気質 （3分42秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
8. プラスチック・ムーン （3分22秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫
9. ポップス・メドレー （5分05秒）
HULLY GULLY (オリジナル：ザ・ビーチ・ボーイズ)
作詞・作曲：フレッド・スレッジ・スミス & クリフォード・ゴールドスミス、編曲：近田春夫
DO YOU LOVE ME (オリジナル：ザ・カウンターズ)
作詞・作曲：ベリー・ゴーディ・ジュニア、編曲：近田春夫
花とみつばち (オリジナル：郷ひろみ)
作詞：岩谷時子、作曲：筒美京平、編曲：近田春夫
HULLY GULLY
ACTION (オリジナル：フレディ・キャノン)
作詞・作曲：トミー・ボイス & スティーヴ・ヴェネット、編曲：近田春夫
10. こんなに愛しているのに （6分35秒）
作詞・作曲・編曲：近田春夫

本作は、近田春夫&ハルヲフォンが多様な音楽ジャンルを横断し、独自のサウンドを追求していた時期の貴重な記録であり、当時の日本の音楽シーンにおける彼らの実験的な姿勢を示す一枚と言えます。

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