ハロルド1世 (イングランド王)

ハロルド1世（ハロルド兎足王）

ハロルド1世は、1015年ごろに生まれ、1040年3月17日に亡くなったイングランドの王で、通称「ハロルド兎足王」として知られています。このあだ名は、彼の速さや狩猟の技術に由来しています。彼の生涯には、政治的な争いや家族の悲劇が絡み合い、イングランド史の中でも特異な位置を占めています。

出自

ハロルドの父はクヌーズ2世で、イングランド、デンマーク、ノルウェーの王でした。また、彼はエルフギフ・オブ・ノーサンプトンとの間に息子をもうけたことから、多くの血筋を持っていました。しかし、父親の血筋については疑問の声もあり、これはハロルドに対する反対勢力のプロパガンダだった可能性があります。

クヌーズの死後、ハロルドにとっての王位継承者と考えられる異母弟ハーデクヌーズは、デンマーク王としての任務に追われ、イングランドへの戴冠式には参加できませんでした。このため、ハロルドは一時的な摂政として支配を任されました。これを支持したのは、主にイングランドの有力者たちであり、反対意見もあったものの、最終的にはハロルドが王となりました。

王位の継承

ハロルドの王位継承についての記録では、カンタベリー大主教が彼の戴冠を拒否したとされています。また、母エルフギフは貴族に賄賂を贈ることで息子の地位を守ろうとしたという証拠があります。このような複雑な背景の中で、ハロルドは迅速に父の資産を手に入れ、イングランドの実権を握りました。

エマ・オブ・ノーマンディーは策略によりフランドルへ逃れましたが、この時期、ハロルドは「王に選ばれる」として広く認識されていました。ただし、この期間のハロルドの実際の権限については疑問も呈され、歴史家のフランク・ステントンは、母であるエルフギフが実質的にイングランドを治めていた可能性を指摘しています。

アルフレッドとエドワードの帰還

1036年、エマの先夫エゼルレッド2世の息子たち、エドワードとアルフレッドが帰国を果たしましたが、彼らの意図はハロルドへの挑戦だった可能性があります。エドワード支持の勢力が上回っていた中、エルフギフの息子たちは捕らえられ、アルフレッドは残念ながら盲目にされ、死に至りました。この一連の事件により、ハロルドはエドワードとアルフレッドの挑戦を排除することに成功しました。

死

1040年3月17日、ハロルドはオックスフォードで亡くなります。この死の直前、彼の異母弟ハーデクヌーズはデンマークで軍を編成しており、彼の王位は存亡の危機にさらされました。ハロルドの遺体はウェストミンスター寺院に埋葬されましたが、ハーデクヌーズが王権を獲得した後、掘り起こされ、首が切られ冥途に投げ捨てられました。その後、ハロルドの支持者たちによって遺体は回収され、さまざまな出来事を経て、セント・クレメント・デーンズ教会に埋葬されることとなります。

所産

ハロルドにはエルフウィンという息子がいましたが、彼は後に大陸で修道士として過ごしました。母エルフギフに関しては、その後の動向は不明となっています。『アングロサクソン年代記』によれば、ハロルドの統治期間は4年と16週であり、クヌーズの死後2週間の後に始まりました。彼の短い統治期は、イングランドとその情勢に大きな影響を与え、多くの歴史的事件の背景となったのです。

もう一度検索