ハワード・フィンケル

ハワード・フィンケル：WWEのレジェンド・リングアナウンサー

ハワード・フィンケル (1950年6月7日-2020年4月16日) は、プロレス団体WWEにおいて、その名を永遠に刻むリングアナウンサーでした。愛称は「ザ・フィンク」。彼の30年以上に及ぶキャリアは、WWEの歴史そのものと深く関わっています。

WWEでの華麗なるキャリア

フィンケル氏のWWEでの活躍は、1975年、ビンス・マクマホン・シニア体制下のWWWF時代から始まりました。1977年には、マディソン・スクエア・ガーデンでの定期戦でリングアナウンサーを務めるようになり、瞬く間に団体を代表する存在となりました。

ブルーノ・サンマルチノ、ボブ・バックランド、ハルク・ホーガン、ショーン・マイケルズ、ジ・アンダーテイカー、ストーン・コールド・スティーブ・オースチン、ザ・ロックなど、数々のトップレスラーたちの試合で、彼の力強い、そして聞き取りやすいアナウンスが響き渡りました。 WWWF、WWF、そしてWWEと、団体名の変遷を共に歩み、幾多の伝説的瞬間をその声で彩っていったのです。

さらに、WWFが新日本プロレスと提携していた1970年代後半から1980年代前半には、アントニオ猪木、藤波辰巳、坂口征二といった日本のトップレスラーたちの試合も担当しました。ニューヨークのリングで、日本のスターたちの活躍を世界に伝える重要な役割を果たしたのです。

リングアナウンサーを超えた存在感

フィンケル氏は、単なるリングアナウンサーの枠を超えた存在でした。ブレット・ハート全盛期のニュージェネレーション期には、悪徳マネージャーのハービー・ウィップルマンとの抗争に巻き込まれ、1995年にはなんと自ら試合に出場する事態に。タキシードマッチという異色の試合でウィップルマンと対戦したのです。

その後も、トニー・チメルやリリアン・ガルシアら後進のリングアナウンサーと、リード・リングアナウンサーの座を巡り、幾度もストーリーを展開。1999年にはクリス・ジェリコの部下としてヒール（悪役）のポジションに回り、チメルと抗争を繰り広げました。2002年にはリリアン・ガルシアとイブニングガウン＆タキシードマッチを行うなど、エンターテイメント性の高いパフォーマンスで観客を魅了し続けました。

2002年に第一線から退いた後も、WWEの広報部門に携わりながら、レジェンド・セレモニーなどでアナウンスを担当。WWE.comのトークコーナーのホストを務めたり、コラムを執筆するなど、多方面で活躍しました。 リッキー・スティムボートのニックネーム「ザ・ドラゴン」の考案者でもあるなど、WWE文化に多大な貢献を果たしました。

2011年にはサバイバーシリーズでCMパンクのゲスト・リングアナウンサーとして登場し、2012年のRAW1000回記念放送でもアナウンスを担当。長年に渡る功績は、WWE殿堂入り（2009年）という栄誉に繋がりました。

そして永遠に

2020年4月16日、69歳でこの世を去りました。 彼の死は、WWEとそのファンに大きな悲しみをもたらしました。しかし、ハワード・フィンケルという名は、WWEの歴史に、そしてプロレスファンの記憶に、永遠に刻み込まれることでしょう。彼の力強い声と、プロレス界への貢献は、これからも語り継がれていきます。

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