ハンキー・パンキー (カクテル)

ハンキー・パンキーは、スイート・ベルモットとドライ・ジンをベースにした、歴史あるカクテルです。その誕生は20世紀初頭、ロンドンの名門サヴォイ・ホテルのアメリカン・バーに遡ります。

考案者は、1903年からこのバーのチーフバーテンダーを務めていたエイダ・コールマン。サヴォイ・ホテルは当時、イギリス初の高級ホテルとして、多くの富裕層や著名人に愛されていました。そんな中、ある日、喜劇役者のチャールズ・ホートリーが「疲れた。何かシャキッとするものを。」と注文。これに応えてエイダが生み出したのが、ハンキー・パンキーなのです。

名前の由来は、その刺激的な味わいにあります。一口飲むと、疲れた気分が吹き飛び、まるで魔法にかけられたように元気が出る。そんな印象から、「Hanky Panky（いかがわしい、魔法）」と名付けられました。

ハンキー・パンキーは、その後、アメリカン・バーのチーフバーテンダーを継いだハリー・クラドックによって、さらに広く知られるようになりました。彼の著書『サヴォイ・カクテルブック』（1930年）にレシピが掲載され、世界中のバーテンダーやカクテル愛好家にとって、重要なレパートリーの一つとなったのです。

ハンキー・パンキーのレシピはいくつか存在しますが、国際バーテンダー協会のレシピを参考に、基本的な作り方をご紹介します。

材料

ロンドン ドライ・ジン：45ml
スイート・ベルモット：45ml
* フェルネット・ブランカ：7.5ml

作り方

1. ミキシンググラスに氷を入れ、材料をすべて注ぎます。
2. バースプーンで丁寧にステアします。
3. カクテルグラスに注ぎます。
4. オレンジゼストで香りを添えて、完成です。

ハンキー・パンキーの特徴は、その独特な苦味にあります。フェルネット・ブランカというビターズが、ジンとベルモットの甘さを引き締め、複雑で奥行きのある味わいを生み出しています。この苦味が、ハンキー・パンキーを単なる甘いカクテルではなく、大人の味わいに昇華させているのです。

また、オレンジゼストの香りが、カクテル全体を爽やかにまとめ上げています。飲む前にオレンジの香りを嗅ぐことで、より一層、ハンキー・パンキーの魅力を堪能できるでしょう。

ハンキー・パンキーは、その歴史と味わい深さから、世界中で愛されているカクテルです。バーで楽しむのはもちろん、自宅でも手軽に作ることができます。特別な夜に、または、疲れた自分へのご褒美に、ハンキー・パンキーを試してみてはいかがでしょうか。

ハンキー・パンキーは、一杯の中に歴史とロマンが詰まった、魅力的なカクテルです。ぜひ、その奥深い味わいを堪能してみてください。

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