ハンゴンソウ

ハンゴンソウ（反魂草）について

ハンゴンソウ（学名: Senecio cannabifolius）は、キク科キオン属に分類される多年草です。その名の通り、一度枯れたように見えても再び芽を出す強い生命力を持つ植物として知られています。

分布と生育環境

ハンゴンソウは、日本では北海道から本州中部以北にかけて分布しています。また、アジア地域では、樺太、カムチャツカ、アリューシャン、シベリア東部、朝鮮半島、中国など広い範囲に生育しています。生育環境としては、高原や深山の湿った草地、湿原、林縁など、比較的湿度の高い場所を好みます。これらの場所では、大小の集団を作って群生している様子が見られます。

形態と生態

ハンゴンソウは、草丈が1〜2メートルにもなる多年生の草本です。茎は直立し、若い茎や葉柄は赤みを帯びています。葉は、茎に互い違いに生え、葉柄を持っています。葉身は広卵形で、羽状に深く裂けており、3〜7つの深い切れ込みがあります。葉の先は尖っており、縁は鋸歯状になっています。また、葉の裏面はざらついた感触があります。

花期は7〜9月で、茎の頂部に直径約2センチメートルの黄色い頭花を多数、散房状につけます。この頭花は、同じキオン属のキオンの花に似ていますが、キオンの葉は切れ込みがないため区別できます。また、葉の切れ込みは、同じくキク科のオオハンゴンソウに似ていますが、オオハンゴンソウは外来種である点が異なります。

利用

ハンゴンソウは、春に20〜30センチメートルほどに伸びた若い芽を山菜として利用できます。ただし、非常に強いアクを持つため、調理には注意が必要です。独特の強い香りと苦味が特徴で、アクを抜くために、よく茹でてから十分に水にさらす必要があります。アクが抜けきらない場合は、一晩水につけてから使用します。主に、おひたし、和え物、煮物などとして調理されます。

注意点

ハンゴンソウは、廣野（1933）の研究によると、ラットに肝臓がんを引き起こす可能性が報告されています。そのため、摂取量や調理法には注意が必要です。

参考文献

高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、165頁。ISBN 4-05-401881-5。
I Hirono. Edible Plants Containing Naturally Occurring Carcinogens in Japan. Jpn J Cancer Res. 1993 Oct;84(10):997-1006.

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