ハンス・ヤーコプ・クリストッフェル・フォン・グリンメルスハウゼン

ハンス・ヤーコプ・クリストッフェル・フォン・グリンメルスハウゼン

ハンス・ヤーコプ・クリストッフェル・フォン・グリンメルスハウゼン（1621年/1622年 - 1676年8月17日）は、17世紀ドイツを代表する作家です。

生涯

グリンメルスハウゼンはゲルンハウゼンで生まれました。10歳の時、ヘッセン軍に誘拐され、三十年戦争の軍隊生活を経験しました。戦争終結後、彼はシュトラースブルク主教フランツ・エゴン・フォン・フュルステンベルクに仕え、1665年にはバーデンの都市レンヒェンの行政官となりました。

行政官の地位を得たグリンメルスハウゼンは、文学活動に専念するようになり、1668年に代表作『阿呆物語』を出版しました。この作品は、当時のドイツで知られていたスペインのピカレスク小説を参考に、グリンメルスハウゼン自身の体験に基づいた物語として描かれています。主人公の幼少期から始まり、三十年戦争における出来事や冒険が、詳細かつ粗野な表現で描写されており、当時の社会情勢を知る上で貴重な資料となっています。しかし、物語後半では寓話的な表現が多くなり、ロビンソン・クルーソーのような展開へと変化していきます。

1669年には、『放浪の女ぺてん師クラーシュ』を出版。この作品は、後にベルトルト・ブレヒトが戯曲『肝っ玉おっ母とその子供たち』を制作する上で重要な着想源になったと言われています。

グリンメルスハウゼンは1676年8月17日にレンヒェンで亡くなりました。彼の功績を称え、1779年にはレンヒェンに記念碑が建立されました。

作品

グリンメルスハウゼンの作品の中で最も重要なのは、Simplicianische Schriftenと呼ばれる一連の作品群です。しかし、『ドイツのミヒェル』のような風刺作品や、『ディートヴァルトとアメリンデ』のような恋愛小説は、Simplicianische Schriftenほど注目されていません。

阿呆物語 (Der abenteuerliche Simplicissimus, 1668年)
放浪の女ぺてん師クラーシュ (Die Ertzbetrügerin and Landstörtzerin Courasche, 1669年)
Der seltsame Springinsfeld (1670年)
Das wunderbarliche Vogelnest (1672年)

日本語訳

『阿呆物語』 望月市恵訳、岩波書店 1953-1954年
『阿呆物語 - シンプリチシムスの数奇な生涯』 上村清延訳、河出書房 1951年（抄訳）
『放浪の女ぺてん師クラーシュ』 中田美喜訳、現代思潮社 1967年

外部リンク

Projekt Gutenberg-DEにおけるHans von Grimmelshausenのページ (ドイツ語)

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