ハンフリー・リトルトン

ハンフリー・リトルトン：火薬陰謀事件に翻弄されたカトリック教徒

ハンフリー・リトルトン（生年不詳 - 1606年4月7日）は、17世紀初頭のイングランドで発生した火薬陰謀事件に関与し、処刑された人物です。当時、カトリック教徒への弾圧が強まる中、リトルトン家は敬虔なカトリックの家系として知られていました。ハンフリー自身も事件の関係者と面識があり、事件に巻き込まれていきます。

事件の発覚と逃亡者の匿い

1605年11月4日、火薬陰謀事件が露見し、当局は犯人一味の指名手配を開始しました。ハンフリーは、逃亡者の一人であるロバート・ウィンターと、血縁関係にある協力者のスティーブン・リトルトンを自身の邸宅であるヘイグリー・パークに匿います。しかし、1606年1月9日、使用人の密告により、彼らの潜伏先は当局に発覚し、ハンフリーは逮捕されることになります。

窮地からの脱却と裏切り

逮捕後、ハンフリーは死刑を回避するため、イエズス会のエドワード・オールドコーン神父がハインドリップ・ホールに潜伏していることを暴露します。この情報提供は、オールドコーン神父だけでなく、イングランドにおけるイエズス会の重要人物であったヘンリー・ガーネット神父、そして聖職者の隠れ家を構築し、ジョン・ジェラード神父のロンドン塔脱獄にも関与したとされるニコラス・オーウェンの逮捕にもつながりました。

処刑

しかし、当局への協力もむなしく、ハンフリーの減刑は認められませんでした。1606年4月7日、彼はウスターのレッド・ヒルにおいて、オールドコーン神父、スティーブン・リトルトンと共に、大逆罪で首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑に処されました。

来歴

ハンフリー・リトルトンは、サー・ジョン・リトルトンの8人の息子のうちの一人として、フランクリーで生まれました。彼は議員資格を持ち、エセックス伯の反乱に加担して獄死したジョン・リトルトンの兄弟もしくは従兄弟にあたります。このジョンはヘイグリー、フランクリー、アッパー・アーリー、ハレソウエンの領地を持っていましたが失いました。これらの財産は、ヘイグリー・パークに住んでいた彼の未亡人ムリエルに対し、1603年にジェームズ1世が回復しています。

火薬陰謀事件との関わり

ハンフリーが火薬陰謀事件に関与することになったのは、事件が発覚する直前のことでした。彼は、首謀者であるロバート・ケイツビーがフランドル地方で戦うための連隊を編成していると認識していた程度でした。また、ケイツビーから、リトルトンの隠し子を自分の従者にしたいという申し出もありました。

事件後、ケイツビーらはハンフリーの甥であるスティーヴン・リトルトンの紹介で、ホルベッチ・ハウスへ向かいましたが、11月8日に当局の襲撃を受け、一味は捕縛されるか死亡しました。襲撃前にスティーヴンは、ロバート・ウィンターと共に逃亡し、ハンフリーを頼って現れたのです。

逮捕と密告

ハンフリーは小作人を使って2人を匿わせましたが、料理人のジョン・フィンウッドが当局に通報したため、潜伏先が発覚しました。逮捕後、ハンフリーはオールドコーン神父の居場所を密告し、イエズス会関係者の逮捕に協力しましたが、最終的には処刑されることとなりました。

ハンフリー・リトルトンの人生は、時代の波に翻弄されたカトリック教徒の悲劇を象徴していると言えるでしょう。彼の行動は、裏切りと犠牲という重い代償を伴い、歴史に名を刻みました。

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