ハンプトン (競走馬)

ハンプトン：下級競走からの栄光と成功した種牡馬人生

ハンプトン（1872年 - 1897年）は、イギリスで活躍した競走馬にして、名種牡馬として競馬史にその名を刻んだ馬です。その生涯は、まさにドラマチックな成り上がり物語でした。

初期のハンプトンは、売却競走や下級ハンデキャップ、障害競走といった、いわば競馬界の下積みを経験しました。複数の馬主を転々とする中で、その才能はなかなか開花せず、将来性もほとんど見いだされていませんでした。しかし、潜在能力は秘められており、やがてその才能が開花する時が訪れます。

転機は3歳時。グレートメトロポリタンハンデキャップというハンデ戦で、軽量という幸運にも恵まれ、勝利を掴みます。その後は、障害競走にも挑戦。グランドインターナショナルハードルという重賞競走で2着に入るなど、着実に実力を上げていきました。この頃、同世代のダービー馬であるガロピンはすでに引退しており、両者の直接対決を見ることはありませんでした。

4歳になると、4人目の馬主であるフレッド・G・ホブスンのもとへ。ホブスンはハンプトンの潜在能力を見抜き、長距離の重賞競走への挑戦を決めました。そして、グッドウッドステークスで勝利。ドンカスターカップでは4着、シザレヴィッチステークスでも4着と、着実に上位に食い込むようになりました。

5歳を迎えると、ハンプトンはついに一流馬の仲間入りを果たします。6連勝という快挙を達成し、グッドウッドカップとドンカスターカップという2つの大レースを制覇。その活躍は、かつて売却競走に出走していた頃からは想像もつかないものでした。翌年には、7200ギニーという高額で第3代エレズメア伯爵に所有権が移転。これは売却競走で取引された時の72倍に相当します。

アスコットゴールドカップ制覇という目標は達成できませんでしたが、種牡馬としての道が開かれました。種付け料は30ギニーと設定されました。

種牡馬としてのハンプトンは、すぐに成功を収めます。同世代のダービー馬ガロピンが種牡馬として人気が出なかったのとは対照的に、ハンプトンの人気は高く、1887年にはリーディングサイアーの座に輝きました。これは、強豪ハーミットのV8を阻止した快挙でした。翌年以降は、ガロピンやセントサイモンといったライバル種牡馬の台頭により、リーディングサイアーの座は一度きりとなりましたが、その後も10年以上トップクラスの種牡馬として君臨し続けました。

レーヴ・ドール（1000ギニー、オークス）、メリーハンプトン（エプソムダービー）、ラダス（2000ギニー、エプソムダービー）、エアシャー（2000ギニー、エプソムダービー）など、数々の優秀な産駒を輩出しました。ベイロナルド（下級戦5勝）も産駒として有名で、後継種牡馬となりました。

25歳で死亡（故障による安楽死と推測されています）したハンプトンは、現在ステッチウォースパークに埋葬されています。その功績は、今もなお語り継がれています。

年度別競走成績

1874年：5戦3勝
1875年：5戦2勝
1875-76年：障害競走2戦1勝+
1876年：3戦1勝
1877年：10戦8勝 (グッドウッドステークス勝利を含む)
1878年：10戦5勝 (ドンカスターカップ、グッドウッドカップ、ノーザンバーランドプレート勝利を含む)

主な勝鞍

グッドウッドカップ
ドンカスターカップ
グッドウッドステークス
ノーザンバーランドプレート
エプソムゴールドカップ

代表産駒

レーヴ・ドール (1000ギニー、オークス)
メリーハンプトン (エプソムダービー)
ラダス (2000ギニー、エプソムダービー)
エアシャー (2000ギニー、エプソムダービー)
ベイロナルド (下級戦5勝、後継種牡馬)

血統表、競走馬成績の詳細については、netkeibaやJBISサーチなどのサイトをご参照ください。

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