ハン・ドッグ

ハン・ドッグ：漢王朝時代の警備犬（絶滅種）

ハン・ドッグは、古代中国の漢王朝時代に存在した犬種で、主に警備犬として飼育されていました。残念ながら現在は絶滅していますが、当時の芸術作品などからその姿を偲ぶことができます。チャウ・チャウやシャー・ペイといった犬種と類似点が多く、これらの犬種の祖先にあたる可能性も指摘されています。

特徴

現存するハン・ドッグを描いた芸術作品からは、犬種としての特徴が一定であったことがうかがえます。がっしりとした体格で、短めの脚、太い首と胴を持ちます。耳は立ち耳で、尾は巻き尾でした。口角が広く、口を開けてうなり声を上げている様子が表現されていることから、警戒心の強い犬種であったと考えられます。

また、多くの作品で抑制用のハーネスを装着している点が共通しています。これは、不審者の侵入に備えて、敷地の外につないでいたことを示唆していると考えられます。現代の番犬のように、家や財産を守る役割を担っていたのでしょう。

歴史

後漢時代の墓所からは、陶器製のハン・ドッグが出土しています。これらの陶器は、単なる装飾品ではなく、被葬者を守る象徴的な意味合いを持っていたと考えられています。生前のハン・ドッグが墓を守るように、死後もその象徴が魂を守ると信じられていたのかもしれません。

ハン・ドッグがいつ頃から存在し、どのような経緯で絶滅したのかは、詳しい記録が残っていないため不明です。しかし、漢王朝という時代背景や、警備犬としての役割、そして芸術作品に残された姿から、当時の人々の生活に密接に関わっていたことが推測できます。

チャウ・チャウ、シャー・ペイとの関係

ハン・ドッグは、その外見的特徴から、チャウ・チャウやシャー・ペイといった犬種との関連性が指摘されています。特に、がっしりとした体格や口角の広い顔つきは、チャウ・チャウとの共通点が見られます。これらの犬種は、ハン・ドッグから派生した、または共通の祖先を持つ可能性も考えられます。

参考文献

デズモンド・モリス 著、池田奈々子, 岩井満理, 小林信美, 竹田幸可, 中條夕里, 靖子カイケンドール 訳『1000種を越える犬たちが勢揃いした究極の研究書 デズモンド・モリスの犬種事典』福山英也, 大木卓(監修)、誠文堂新光社、2007年8月10日。ISBN 978-4-416-70729-6。
アメリカン・ケネル・クラブ 著、株式会社DHC出版事業部 訳『犬の事典』筒井敏彦, 高田進(監修)、株式会社DHC、1998年4月17日。ISBN 4-88724-038-4。
小島豊治『図鑑 世界の犬 純血212種』Collar出版、2012年10月1日。ISBN 978-4-9906379-0-3。

関連項目

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