ハートビート・エクスプレス

荻野目洋子 ミニアルバム『ハートビート・エクスプレス』：青春のきらめきを閉じ込めた一作

1986年、日本の音楽シーンを彩った数々の名作の中でも、荻野目洋子の5枚目のミニアルバム『ハートビート・エクスプレス』は、特別な輝きを放つ作品と言えるでしょう。 同年8月5日、ビクター音楽産業よりリリースされたこのアルバムは、単なる音楽作品を超え、時代の空気感、そして荻野目洋子自身の転換期を象徴する一枚となっています。

アルバムのテーマは、まさに「青春」そのもの。当時、TBS系列で放送された連続テレビドラマ『早春物語〜私、大人になります〜』の主題歌を含む楽曲群は、瑞々しく、そしてどこか切ない青春の情景を鮮やかに描き出しています。荻野目洋子が同ドラマで主演を務めたという事実も、このアルバムに特別な重みと魅力を与えています。 アルバムの帯コピー「つのる想いを、とめないで。」は、まさにこの青春のエネルギー、抑えきれない感情を表現した、見事な一文と言えるでしょう。

興味深いのは、LP盤が10万枚限定で、グリーンのカラーレコードとして販売された点です。「〜早春物語メモリアル・アルバム〜」というサブタイトルが付けられたことも、このアルバムがドラマとの密接な関係にあることを示しています。 当時の音楽ファンの間では、この限定盤を入手することが一種のステータスだったと言えるでしょう。

それから時が流れ、2010年、荻野目洋子デビュー25周年を記念したリイシュー企画として、『ハートビート・エクスプレス [+9]』が発売されました。これが、この貴重なアルバムの初のCD化となります。オリジナル6曲に加え、新たに9曲がボーナス・トラックとして追加収録されたことで、アルバムの価値はさらに高まりました。

追加された9曲は、荻野目洋子のキャリアを彩る代表曲の数々。それぞれの楽曲が持つ雰囲気や、荻野目洋子の歌声によって表現される多様な感情は、リスナーに多様な音楽体験を与えてくれます。

オリジナル盤収録曲:

SIDE A
Dance Beatは夜明けまで (作詞：森浩美／作曲：NOBODY／編曲：西平彰)
パンドラの涙 (作詞：川村真澄／作曲：古本鉄也／編曲：船山基紀)
Rain－夏をつれさる雨－ (作詞：森浩美／作曲・編曲：渡辺博也)
SIDE B
ベルベットの悪戯 (作詞：川村真澄／作曲・編曲：渡辺博也)
ひと夏だけの天使 (作詞：FUMIKO／作曲：渡辺博也／編曲：大村雅朗)
アフター・マイ・ハートビーツ (作詞：川村真澄／作曲：NOBODY／編曲：西平彰)

ハートビート・エクスプレス+9 (ボーナス・トラック +9曲):

ロマンティック・オデッセイ (作詞：森浩美／作曲・編曲：伊藤銀次)
Dance Beatは夜明けまで -in セビーリア- (作詞：森浩美／作曲：NOBODY／編曲：西平彰)
I Love Youを言えないままに (作詞・作曲：あらい舞／編曲：萩田光雄)
Skywayを見つめて (作詞・作曲：あらい舞／編曲：萩田光雄)
汚れた靴のイニシャル (作詞：松井五郎／作曲：玉置浩二／編曲：星勝、武沢豊／ホーンアレンジ：小林正弘、星勝)
想い出には早すぎる (作詞：松井五郎／作曲：玉置浩二／編曲：星勝、矢萩渉)
メインテーマ (作詞：早坂暁／作曲：原田真二／編曲：森英治)
ROCK MY LOVE (作詞：吉元由美／作曲・編曲：馬飼野康二)
* MORE MORE しあわせ (作詞：川村真澄／作曲：Mark Davis／編曲：井上Brothers)

『ハートビート・エクスプレス』は、単なるミニアルバムではなく、荻野目洋子というアーティストの成長、そして青春時代の瑞々しい感性を凝縮した、まさにタイムカプセルのような作品と言えるでしょう。 その音楽は、時代を超えて、聴く者の心に響き続けるに違いありません。

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