ハートピアきつれ川

ハートピアきつれ川の歴史と現在

ハートピアきつれ川は、かつて栃木県さくら市にあった福祉施設で、精神障害者の授産施設やホテルを備えていました。この施設は、厚生省の指導の下、1991年に設立され、全国精神障害者家族会連合会（全家連）が運営を行いました。建設当初は、精神障害者が自立支援を受けるための宿泊施設や授産施設が設けられ、心のケアと就労訓練を行うことを目的としていました。

施設の設立背景

ハートピアきつれ川は、塩谷郡喜連川町（現在のさくら市）に設立されました。設立の際には、厚生省が統合失調症や気分障害に悩む患者の家族たちと連携し、彼らの支援を重視した福祉の場を作ることを目指しました。施設の総工費は9億5000万円であり、そのうち約1億円は家族会からの寄付金でした。充実した設備を整え、宿泊定員を100人、授産施設は30人とする計画でした。

経営の課題

ハートピアきつれ川は、宿泊施設と授産施設を運営しましたが、毎年赤字を出し、財政的な問題に直面しました。全家連は、厚生省からの補助金を収益の穴埋めに流用することで運営を続けましたが、2002年にはこの不正が発覚し、補助金の支給停止が決定されました。その結果、財務の厳しさが増し、最終的には2007年に全家連が自己破産を申請するに至りました。

施設の縮小と移行

2009年には保養部の閉鎖が決まり、授産施設のみが存続する形となりましたが、全精社協内での資金流用疑惑も明るみに出ました。施設の譲渡交渉が進められる中、役員の逮捕などが相次ぎ、全精社協も2010年には自己破産を申請し、その閉鎖が現実味を帯びてきました。

2011年2月、関係者による「お別れ会」が開かれ、その後の同年3月には授産施設も閉鎖され、その役割を終えました。

現在の運営

ハートピアきつれ川は、2011年12月に千葉県船橋市に本拠を置く医療法人三松会に買収され、老人福祉施設「ハートピアさくらの郷」として新たに再開されました。この施設では、主にデイサービスや一般向けの日帰り入浴が復活し、地域の高齢者に向けたサービスが提供されています。建物は当初の目的に応じて、新たな形で地域に貢献する活動が続けられています。

併設施設

施設内には、内職や陶器制作などを行う授産施設のほか、地域生活支援センターやグループホームも併設されています。これにより、地域のニーズに応じた多様な福祉サービスが提供されています。

天下り問題

最近の調査によれば、全家連理事が厚生省からの天下り要請を受け入れたことで、さまざまな問題が懸念されていました。この件は、組織の透明性や運営の公正さに疑問を投げかけるものであり、福祉施設の運営における倫理的な課題を浮き彫りにしています。

このように、ハートピアきつれ川は時代とともに変遷を遂げ、多くの課題を抱えてきましたが、最終的には高齢者福祉の場として生まれ変わりました。

もう一度検索