ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌

映画『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』について

『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』（原題：辣手神探、英題：Hard Boiled）は、1992年に公開された香港のアクション映画で、ジョン・ウーが監督を務めました。主演はチョウ・ユンファが務め、準主役にはトニー・レオンが登場する、香港映画界の二大スターが共演する作品です。この作品は日本でのタイトルに「男たちの挽歌」とあるものの、以前の『男たちの挽歌』シリーズとは全く関係がありません。ジョン・ウーはこの映画の成功により、ハリウッドに進出し、その後のキャリアにおいて多くの著名な作品を生み出すこととなります。

ストーリーの概要

物語は香港を舞台に、激化する黒社会の抗争と、その中で引き起こされる銃撃戦が描かれています。香港警察の「テキーラ」ことユン警部補は、銃の密輸に関する潜入捜査を行いますが、結果として親しい同僚を失うという悲劇を経験し、捜査から外されてしまいます。その後、彼は情報屋のコウと恋人で女警部のテレサの協力を得て、武器取引の背後にある真実を追求します。

一方で、ホイ組の殺し屋トニーは、敵対するジョニー組のメンバーを次々と襲撃し、短時間で力を付けていきます。テキーラはトニーと運命的に出会い、彼が実は潜入捜査官であることを知ります。お互いの目的が一致した二人は手を組み、ジョニー組に立ち向かうことを決意します。

アクションシーンの見どころ

この映画の最大の魅力は、ジョン・ウー独特のスタイルで撮影された壮大な銃撃戦にあります。序盤の約4分半に及ぶ飲茶屋での銃撃戦や、終盤の病院でのクライマックスシーンは特に評価が高く、香港だけでなく海外のファンからも支持されています。これらのシーンでは、主人公たちが直面する暴力の残酷さや、無関係な民間人が巻き込まれる様子がリアルに描かれており、見る者に強い印象を与えます。

特に飲茶屋でのシーンは、撮影が脚本未完成の段階で行われたというエピソードもあり、アクションの迫力と臨場感を一層引き立てています。また、病院での撮影の際には、窓を特別な防護材で覆い、夜間でも撮影を可能にする工夫が行われました。これにより、リアルな照明条件の下で迫力ある映像が実現されました。

エピソード

映画には撮影時に興味深いエピソードがいくつか存在します。例えば、俳優の國村隼は当時、大阪を拠点に活動していたことから、監督の推薦で出演が決まりました。また、銃撃戦の長回しシーンは同じスタジオで撮影されるなど、さまざまな工夫が凝らされています。エレベーターの移動を表現するための看板の工夫など、細部にわたる演出がストーリーの流れを自然に保っています。

このように『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』は、ジョン・ウー監督の特異な視点で描かれたアクション映画であり、香港映画界の金字塔的存在となっています。その後の映画製作においても、彼のスタイルやテーマが多くの作品に影響を与えることになるでしょう。

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