黒社会とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

黒社会とは

黒社会（ヘイシャーホェイ）とは、中国語圏で犯罪組織を総括する言葉であり、英語のUnderworld、日本語の裏社会や闇社会に相当します。黒幇（ヘイバン）、黒道（ヘイダオ）とも呼ばれ、「江湖」も同様の意味で使われることがあります。この言葉は、地域を問わず世界各地の裏社会を指す普遍的な概念として用いられています。

日本語では、中国語の「黑社會」を輸入した言葉として使われ、特に中国語圏の裏社会を固有に表す言葉として、文学や娯楽の分野で使われることが多いです。

黒社会の活動と資金源

黒社会は、麻薬密売、武器密売、賭博、売春、密航、人身売買、高利貸し、みかじめ料徴収、詐欺、恐喝、強盗、誘拐、嘱託殺人、マネーロンダリング、ハッキングなど、多岐にわたる犯罪活動によって資金を得ています。

中国語圏の黒社会

中国語圏の黒社会を構成する組織は、清朝打倒を目指した秘密結社をルーツに持つものが多いです。これらの組織は国共内戦にも関与しましたが、次第に犯罪組織へと変質していきました。秘密結社の位階、儀式、暗号、掟などを組織に取り入れているのが特徴です。

香港

香港では、三合会を筆頭に、14K、新義安、和勝和などの犯罪組織が割拠しています。香港は「黒社会の首都」とも呼ばれてきました。香港返還前には、中国本土と同様の取締り強化や厳格な死刑適用が懸念されましたが、中国政府は「黒社会にも愛国者はいる」として容認する方針を示しました。返還後も三合会などの黒社会は香港政府と共存し、中国本土との結びつきを強めています。2014年の香港反政府デモや2019年の逃亡犯条例改正案をめぐる抗議デモでは、黒社会が暴力を振るったと民主派から批判されています。

台湾

台湾では、竹聯幇、四海幇、天道盟などが黒社会として有名です。

福建

福建省には、蛇頭をはじめ、斧頭、清竜会、少林、羅漢など、多くの犯罪組織が存在しています。

上海

上海では、青幇や紅幇といった組織が知られています。

欧米における黒社会

中国語圏の犯罪組織は、華僑が多く住むアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの欧米にも進出しています。一部の組織は、現地のストリートギャングと連携しているとされています。近年では、豊富な資金力を背景に、現地の政治や経済にも影響力を及ぼしています。2014年には、カリフォルニア州議員がチャイナタウンのマフィアと共謀し、銃器密売や恐喝、贈賄を行ったとして逮捕されました。

日本における黒社会

日本では、東京の新宿・歌舞伎町が黒社会の最大の拠点とされています。複数の組織が縄張りや利権をめぐって抗争事件を起こしており、警視庁が取り締まりを強化しています。また、大阪のミナミでも黒社会の関与が疑われる事件が発生しています。蛇頭にも黒社会の構成員や暴力団が関与しているとされています。不正送金による資金洗浄にも黒社会が関わっており、1992年から2001年の間に摘発された不正送金グループによる中国への不正送金は総額1200億円に達します。

「黒社会」に関する書籍

- 田雁（鈴木健一訳）『BLACK CHINA 中国黒社会規範なき大陸の暗黒年代記』バジリコ、2004年
- 石田収『中国の黒社会』講談社、2002年
- 溝口敦『中国「黒社会」の掟チャイナマフィア』講談社、2006年
- 富坂聡『潜入在日中国人の犯罪シンジケート』文藝春秋、2003年
- 何頻、王兆軍（中川友訳）『黒社会中国を揺るがす組織犯罪』草思社、1997年
- 陳放（椙田雅美、宮崎真紀訳）『海怒（ハイヌ）　東京黒社会群狼記』（上・下）バジリコ、2004年（フィクション）

「黒社会」の登場するフィクション

映画

- 『007 ドクター・ノオ』
- 『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』
- 『リプレイスメント・キラー』
- 『リーサル・ウェポン4』
- 『ラッシュアワー』シリーズ
- 『NYPD15分署』
- 『ロミオ・マスト・ダイ』
- 『エレクション』
- 『アドレナリン』
- 『ローグアサシン』
- 『SAFE/セイフ|SAFE_セイフ』

漫画

- 『ゴルゴ13』
- 『ブラックラグーン』
- 『蒼天の拳』
- 『9番目のムサシ』
- 『ガーリー・エアフォース』
- 『勇午』
- 『拳児』

ゲーム

- 「グランド・セフト・オートシリーズ」
- 『シェンムー』

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