ハード島とマクドナルド諸島

ハード島とマクドナルド諸島

ハード島とマクドナルド諸島（略称：HIMI）は、インド洋に位置する無人の島々であり、1947年以降はオーストラリアの領土として知られています。1997年にはユネスコの世界遺産に認定され、その豊かな自然環境が高く評価されています。この諸島は、南西オーストラリアのパースから約4100km、そしてケルゲレン諸島から約450km離れた場所に位置しています。

地理的特徴

ハード島は荒涼とした風景が広がり、主に起伏に富んでいることが特徴です。また、高度2745メートルを誇るモーソン・ピークが存在し、これはビッグベン・マッシフの一部とされています。一方でマクドナルド諸島は、比較的小さく、主に岩で構成されている点が特徴的です。島々全体の面積は372km²で、登録された地域には港が存在せず、自然のままに保たれています。これらの島々は亜南極海域に位置しており、火山活動も活発であり、外来種や人間の影響をほとんど受けていない貴重な生態系が残されています。

環境と生物多様性

この地域には、ミズナギドリ科やアホウドリ科、ペンギン科の海鳥、およびアザラシを含むさまざまな哺乳類の大規模なコロニーが存在します。さらに、ハード島には固有種のハードウやカオグロサヤハシチドリの特有亜種が生息しており、無脊椎動物の多くもこの地にしか生息していないことが確認されています。そのため、この島々の生態系は非常に重要であり、オーストラリアの環境と遺産省の国立公園として厳格に保護されています。研究者だけがアクセスできる厳正保護地域に指定されており、経済活動はまったく行われていません。

歴史的背景

ハード島とマクドナルド諸島の発見は、1833年11月27日にイギリス人のキャプテン・ピーター・ケンプが最初であるとされています。彼はアザラシ猟の合間にこの地域を航行中に発見し、後にその存在を確認しました。しかし、1830年代初頭の発見が正確かどうかは疑わしいとされています。その後、1853年11月にはオリエンタル号のキャプテン・ジョン・ハードがハード島を確認し、その名が付けられました。同様に、1854年にはキャプテン・ウイリアム・マクドナルドが発見した島にちなんでマクドナルド諸島と名付けられました。

初めて人がこの島々に降り立ったのは1855年のことで、コリンシアン号のキャプテン・エラスムス・ダーウィン・ロジャーズがその先駆者でした。アザラシの脂を取りに訪れたアメリカ人が定住を始めるも、1880年頃にはその活動は終了しました。この間に、100,000バレルのアザラシの脂が生産され、島々の自然に影響を与えました。

世界遺産としての価値

ハード島とマクドナルド諸島は、世界遺産登録の基準のうち、特に次の2つの基準を満たしています。第一に、地球の歴史を示す重要な地質、地形の進化や、自然地理的な特性が見られる点です。第二に、生態系と動植物群集の発展を示す重要なプロセスが存在する点です。これらの特性が認められ、ユネスコの世界遺産としての地位が確立されました。

このように、ハード島とマクドナルド諸島は、独特な自然環境を誇り、保護と研究の対象として国際的にも重要な地域となっています。

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