ハーバート・マクマスター

ハーバート・レイモンド・マクマスターの生涯と業績

ハーバート・レイモンド・マクマスター（Herbert Raymond "H. R." McMaster）は、1962年7月24日にペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれました。彼はアメリカ合衆国の退役軍人であり、最終階級は陸軍中将です。また、軍事戦略家、政治家としても知られています。

軍歴

1984年にウェストポイントの陸軍士官学校を卒業後、少尉に任官しました。その後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校で文学修士号と軍事史の博士号を取得しました。

1991年の湾岸戦争では、機甲騎兵中隊を指揮し、73イースティングの戦いで銀星章を受章しました。イラク駐留軍司令官の特別補佐官、アフガニスタン駐留軍の合同調整機動部隊司令官などを歴任し、2012年6月には米軍高等機動作戦センター司令長官に就任しました。2014年7月からは陸軍能力統合センター長を務めました。2018年5月18日に退役するまで、30年以上にわたりアメリカ陸軍に貢献しました。

国家安全保障問題担当大統領補佐官

2017年2月20日、ドナルド・トランプ大統領によって国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名されました。この役職は議会の承認を必要としませんが、マクマスターが将官であったため、上院の承認が必要となりました。

就任後、マクマスターはテロリズムに対する見解の違いから、一部のホワイトハウス高官と対立しました。彼は、テロリストを「イスラム過激派テロ」と呼ぶことに反対し、テロリズムの根本原因に対処する必要があると主張しました。

また、スティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問を国家安全保障会議(NSC)から外す決定にも関与しました。マクマスターは、バノンら一部のホワイトハウス高官と「決死の戦い」を繰り広げていると報道されました。

トランプ大統領の外交政策についても、マクマスターは懸念を表明しました。彼は、大統領が機密情報の取り扱いに無頓着であると批判し、国家安全保障上の懸念を示唆しました。2018年3月22日、トランプ大統領はマクマスターが辞任に合意したことを発表し、後任にジョン・ボルトンを指名しました。

その後

2019年4月9日、マクマスターはワシントンDCのハドソン研究所のジャパン・チェアに就任しました。

2024年8月26日には、バージニア州アーリントン国立墓地で行われた献花式に参加し、アフガニスタン撤退時に死亡したアメリカ軍要員13人を追悼しました。CNNのインタビューでは、アフガニスタン撤退に関する責任の一端はトランプにもあると発言しました。

人物像

マクマスターは、その著書『義務の放棄』において、ベトナム戦争におけるロバート・マクナマラとリンドン・ジョンソン大統領の失敗を分析しました。彼は、情報不足や矛盾した軍事目的が戦争の失敗を招いたと指摘しています。この著作は、軍事史における重要な研究として高く評価されています。

イラク戦争では、タルアガル奪回作戦において、アラブの伝統衣装を身に着けさせ地元民に扮するなど、きめ細かい作戦指揮を行ったとされています。また、彼は、2017年2月に菅義偉内閣官房長官から「陸軍きっての戦略家」と評され、2018年3月に河野太郎外務大臣からも「非常に日本を理解し、実直な方」と評価されています。

マクマスターは、軍人としての経験と学術的な知識を兼ね備えた人物であり、アメリカの安全保障政策に大きな影響を与えた一人として、その功績は記憶されるでしょう。

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