ハーバービュー・クラブ

ハーバービュー・クラブ：沖縄の社交場からホテルへ

ハーバービュー・クラブは、かつて沖縄県那覇市に存在した米軍基地（FAC6063）内に設けられた、会員制の社交クラブです。その豪華な施設から「沖縄鹿鳴館」とも呼ばれていました。1972年に日本へ返還された後、現在は沖縄ハーバービューホテルとして営業しています。

概要

ハーバービュー・クラブは、沖縄戦終結後から米軍関係者のための社交場として利用されてきました。米軍人や軍属の会議室、食堂、バー、娯楽施設などが完備されており、アメリカ人を中心に、琉球列島米国民政府の高官や政財界の有力者も会員となっていました。そのため、沖縄における重要な社交の場として機能していました。

特に、1963年にはキャラウェイ高等弁務官がクラブでの会合で「沖縄の自治は神話にすぎない」と発言したことで、その名が広く知られるようになりました。この発言は、当時の沖縄の政治状況を象徴するものとして、現在でも語り継がれています。

館内にはレストランや売店があり、免税措置が適用されていました。1960年代には、ウイスキーの水割りが1杯15セント（当時のレートで54円）で提供されていたそうです。また、高額配当が出るスロットマシンも設置されており、多くの利用者がギャンブルを楽しんでいました。

詳細

所在地: 那覇市上泉町1丁目、泉崎2丁目、字楚辺、字壺川
面積: 約16,200㎡（1972年返還時）

米軍基地としての歴史

1945年：米陸軍の工作隊基地として使用開始。その後、工兵隊と交代し、米軍の食堂や将校クラブが設置され、ハーバービュー・クラブへと発展しました。
1957年頃：政財界の有力者も会員となるなど、社交の場としての重要性が増しました。
1963年3月5日：キャラウェイ高等弁務官が「金門クラブ」の会合で、「自治とは現代では神話であり存在しない」と発言。琉球政府への権限委譲は努力されているものの、琉球政府の状態では不十分であるとしました。

返還後の歴史

1972年8月14日：日本へ返還。
1975年6月7日：沖縄国際海洋博覧会の開催に合わせて、「沖縄ハーバービューホテル」として開業。現在のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューとして再スタートしました。
2015年4月6日：菅義偉官房長官が、翁長雄志知事との会談場所にハーバービューホテルを選定。菅官房長官が沖縄に対して繰り返す「粛々と」という言葉が、キャラウェイ高等弁務官の発言と重ねて批判されました。

ハーバービュー・クラブの意義

ハーバービュー・クラブは、単なる社交場以上の意味を持っていました。戦後の沖縄において、米軍関係者や琉球政府高官が集い、情報交換や政策決定が行われる場でした。また、免税措置やギャンブルなどの娯楽施設は、当時の沖縄の人々にとっては特別な存在でした。

返還後、ホテルとして生まれ変わった後も、その歴史的な背景から、沖縄における重要な場所として認識されています。

関連事項

沖縄の米軍基地
アメリカ合衆国による沖縄統治
琉球列島米国民政府
キャラウェイ旋風
金門クラブ
鹿鳴館

外部リンク

ＡＮＡクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー

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