ハーピー (航空機)

IAI ハーピー - 無人攻撃機の革新

IAIハーピー（IAI Harpy）は、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ（IAI）によって1990年代に開発された無人攻撃機です。この機体は、通常の無人航空機（UAV）とは異なり、特定の高価値目標—主に敵の防空システムに焦点を当てた攻撃を行うことに特化しています。そのため、ハーピーは敵のレーダーサイトやミサイルシステムに対する攻撃能力を有する特異な兵器です。

特徴と技術

IAIハーピーは、搭載された高性能なパッシブシーカーによって、レーダーやマイクロ波を感知し、高精度で目標を特定します。目標を見つけると、内部に装填された約70ポンド（約32kg）の爆薬を携えて突入し、自爆攻撃を実行します。この点から、ハーピーは「神風ドローン」や「自爆型ドローン」とも呼ばれ、特攻戦術の一例として位置づけられます。

ハーピーの特異な設計により、敵の防空システムに直接的なダメージを与えることが可能であり、省コストで運用できるという利点もあります。そのため、「コストコドローン」という別名も持っているのです。

動作範囲と運用能力

ハーピーは、化学エンジンを搭載し、最高速度417 km/h（約225ノット）での飛行が可能です。また、最大高度は4,572メートル（約15,000フィート）で、290 kmの通信範囲を有し、最大で9時間もの航続時間を誇ります。このような高い運用能力により、さまざまな戦場での使用に対応することが期待されています。

開発と派生型

後に、IAIハーピーのコンセプトを基にした大型無人攻撃機IAIハロップも開発されました。ハロップは、IAIハーピーの改良型と見なされ、特攻の戦術をさらに強化した戦闘機となっています。IAIハーピーは、IAIハーピー1として知られ、ハロップはIAIハーピー2と呼ばれることもあります。

採用国と国際問題

IAIハーピーは、イスラエルを中心に、中華人民共和国、韓国、インド、トルコ、チリ、アゼルバイジャンなどの国に採用されています。しかし、2004年には中国への輸出がアメリカの輸出制限政策の影響を受け、論争を引き起こしました。IAIハーピーが中国に向けてアップグレードされる予定でしたが、アメリカはその行為が台湾やアメリカ軍に脅威を与えると懸念し、イスラエルに対し返却を要求しました。

最終的に、IAIハーピーは訓練や運用に適した形式で返却され、アメリカとイスラエルの関係を一時的に冷却させる結果となりました。その後、中国はハーピーをリバースエンジニアリングしてASN-301として量産しました。

実戦での利用

最近では、2020年9月のアルメニアとの武力衝突において、アゼルバイジャン軍がハーピーを使用し、敵軍に対する攻撃を行った事例が報告されています。また、2016年にはその改良型であるハロップが実戦に投入されたという情報もあります。無人機の戦術的な運用が進む今、IAIハーピーは今後の戦場においてますます重要な役割を果たしていくと考えられています。

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