ハーミド・カルザイ

ハーミド・カルザイ

ハーミド・カルザイ（Hāmid Karzai、1957年12月24日生まれ）は、アフガニスタンの政治家であり、同国の初代大統領を務めました。彼はカンダハール州のカルツ出身のパシュトゥーン人であり、多くの重要な政治的役割を担ってきました。

生い立ちと教育

1973年、王政打倒のクーデターの原因でインドに移住したカルザイは、1979年にはヒマーチャル大学で政治学と歴史学を学びました。その後、フランスのリール大学でジャーナリズムを専攻。しかし、彼がアフガニスタンの政治シーンに戻るのは1980年代になってからであり、ムジャーヒディーンの活動に関わるようになります。これは、パキスタンへの移住や、アメリカでの生活を通じて培った人的ネットワークが大きく影響しています。

1982年からはアフガニスタン救国民族戦線の報道官や政治部長として政治活動を開始し、1992年にはブルハーニー・ラッバーニー政権で外務次官に抜擢されました。この頃から彼は反ターリバーンの立場を取るようになります。カルザイは、父親がターリバーンに殺害されたことが影響していると言われています。

大統領就任の背景

2001年のアメリカ同時多発テロ事件後、カルザイは米軍によるターリバーン政権の打倒に重要な役割を果たしました。彼は暫定行政機構の議長になり、その後2002年にアフガニスタン・イスラム移行政権の大統領に就任しました。2004年には直接選挙での勝利を果たし、正式に大統領となります。この就任式にはアフガニスタン最後の国王が立ち会い、国父の称号が与えられました。

政治活動と改革

大統領としての任期中、カルザイは汚職撲滅を訴え、政権の透明性を高めるための改革を進めましたが、その経過は決してなめらかではありませんでした。2009年の再選時、汚職問題が大きく取り沙汰され、その批判にさらされました。2014年には憲法に基づき次期大統領選への出馬を辞退し、政権移譲に従いました。

国際関係の構築

カルザイ在任中、アメリカの石油企業ユノカルで取締役を務めたとの報道もあります。彼は、アフガニスタンの資源を利用するためのインフラを整える道を模索しました。また、上海協力機構への参加を求めるなど、国際政治の場でも積極的に関与しました。

2002年以降、日本を数度訪れ、アフガニスタン復興支援に関する国際会議にも参加しました。特に、彼は日本の首相と会談し、広島の平和記念公園で献花をするなど、日本との関係を深める努力をしました。

最後の活動と影響力

2021年8月、ターリバーンが再びアフガニスタンを制圧した後も、カルザイは国内に留まり、彼らとの対話を促進しました。2022年には朝日新聞とのインタビューで女子教育に関する重要性を訴え、国際社会との連携を図る姿勢を示しました。また、2023年にはターリバーン政権の存続を認める意向を表明し、混乱の中でも一定の影響力を維持しているとされています。

家族と背景

カルザイは1957年に生まれ、ポーパルザイ部族に属する名門の家系に育ちました。彼の家族は政治に深く関与しており、弟や父も同様にその影響力を持っていました。既婚であるカルザイには、2007年に息子が生まれています。

結論

ハーミド・カルザイは、アフガニスタンの近代史において重要な役割を果たした政治家です。彼の政治活動や国際関係への取り組みは、今なお議論の対象となっており、後世への影響は計り知れません。

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