パシュトゥーン人について
パシュトゥーン人は、
アフガニスタンと
パキスタンに住む
イラン系
民族であり、
アフガニスタンでは最大の
民族集団を形成しています。彼らは多様な社会構造と豊かな文化を有しており、その歴史は古く、紀元前から現在にかけて数多くの変遷を遂げてきました。この
民族は、
パシュトー語を話し、独自の
部族構成と伝統を持つことで知られています。
分布と人口
アフガニスタンの中部および南部、さらには
パキスタンの北西部に広がるカイバル・パクトゥンクワ州および辺境
部族自治区に、パシュトゥーン人は数千万人が居住しています。
アフガニスタンの人口の約45%を占め、
パキスタンにおいても約15%と大きな割合を形成しています。彼らの社会は
部族を基盤にした強い結束を持ち、その中で「パシュトゥーンワーリ」という伝統的な慣習法が存在します。特に男子は家名や誇りを重んじる傾向にあります。
アフガニスタンでは、ドゥッラーニー
部族連合とギルザイ
部族連合などの主要な
部族が影響力を持っています。
1978年に発生した
社会主義クーデターやその後の内戦は、パシュトゥーン人の力を弱めたものの、彼らは依然として国の重要な立場を維持しています。特に、
ターリバーンが台頭した際には、彼らの支持基盤として機能しました。2021年9月の再制圧後、
ターリバーンは多数の閣僚をパシュトゥーン人から選出しました。
パキスタンにおけるパシュトゥーン人の影響
2020年のデータによると、
パキスタンにおけるパシュトゥーン人の割合は約15%です。彼らは政治界でも影響力があり、多くの著名な政治家を輩出しています。また、経済にも進出しており、過去のデータでは軍や警察、高級官僚などにパシュトゥーン人が多く含まれていることが示されています。パシュトゥーン人の中には、統一した州の設立を求める声もありますが、同時にその実現に対する懸念も抱かれています。
歴史的背景
パシュトゥーン人の起源は
紀元前2世紀に遡り、彼らは
イラン高原の東部地域に初めて登場しました。その後、
10世紀にイスラーム教を受け入れ、サファヴィー朝やムガル帝国の支配を受けるようになります。特に
18世紀にはサファヴィー朝に対し反乱を起こし、彼らの歴史の中で重要な役割を果たしたアフマド・シャー・ドゥッラーニーが国家の基盤を形成しました。
現代のパシュトゥーン人
パシュトゥーン人は、遺伝的にも興味深い特性を有しています。Y染色体ハプログループに関する研究では、R1aが51%、Qが18.4%、Lが12.2%を占めており、彼らの起源地についての理解を深める手がかりとなっています。地理的には
アフガニスタンと
パキスタンに分断されているものの、彼らの文化や言語は共通しており、強いアイデンティティを形成しています。
まとめ
これまでの歴史と文化を通じて、パシュトゥーン人はその
民族的特性を強く保持し続けてきました。彼らの社会的慣習や伝統、そしてそれに基づく生活様式は、
アフガニスタンと
パキスタンの文化的な豊かさを伝える重要な要素です。これからも、パシュトゥーン人の影響や文化がどのように発展していくのかが注目されます。