バイクトライアル

バイクトライアル：自転車で極限に挑む

バイクトライアルは、自転車に乗ったまま岩場や人工的な障害物を、足をつかずにクリアしていく競技です。かつてはモトトライアルへの入門として位置づけられていましたが、現在では独自の進化を遂げた独立したスポーツとして確立されています。

歴史

バイクトライアルの起源は1970年頃、スペインのカタルーニャ地方で子供たちがオートバイの代わりに自転車でモトトライアルを真似たのが始まりと言われています。その後、モトトライアルの世界チャンピオンが、自分の息子にトライアルを教えるために自転車を利用したことで、本格的な競技へと発展しました。

初期には「トリアルシン」や「バイシクルトライアル」などと呼ばれていましたが、国際バイクトライアル連盟（BIU）の設立により、「バイクトライアル」が正式名称となりました。国際自転車競技連合（UCI）も同様の競技を「Trials」という名称で管轄しています。

日本では、BIU世界選手権が2008年まで岐阜県関市板取で開催されていました。

基本ルール

競技者は、会場に設定されたセクションと呼ばれるコースを、制限時間内にゴールすることを目指します。走行中、片足を地面につけるごとに減点となり、減点の少なさで順位が決まります。

減点

片足をつく：1点減点（4回まで）
両足をつく、転倒する、コースから逸脱：5点減点

BIUとUCIではルールに若干の違いがあり、例えば、ペダルが地面に接触した場合、BIUでは減点になりませんが、UCIでは減点対象となります。また、制限時間を超過した場合の減点も、BIUとUCIで異なります。

トライアルバイク

トライアルバイクは、障害物を乗り越えることに特化した設計がされています。一般的な自転車とは異なり、以下のような特徴があります。

フレーム：トップチューブが極限まで低く、サドルを取り付けるための穴もありません。ボトムブラケット下には、障害物に当てるためのバッシュガードが備えられています。
ブレーキ：減速よりも制動力が重視されるため、油圧リムブレーキやディスクブレーキが主流です。
タイヤ：後輪には、接地面積を増やすために空気圧を低くした太めのタイヤが使用されます。
スプロケット：静止状態からの瞬発力や登坂力を高めるため、ギア比はほぼ1対1です。

これらの特徴により、トライアルバイクは、一般的な自転車とは全く異なる乗り心地と操作性を持ちます。また、近年では軽量化が進んでおり、7kgを切る車体も市販されています。

26インチ（マウンテンバイク）

マウンテンバイクでも低速ギアを使用することでトライアルに対応できることから、マウンテンバイクの大会で「オブザーブドトライアル」という競技が行われるようになりました。その後、正式にバイクトライアルの一部門として採用されました。

当初はクロスカントリーバイクが使用されていましたが、トライアル専用のバイクも開発され、「変速機を備える」などの車両規定も撤廃され、26インチでもマウンテンバイクとはかけ離れた純粋なトライアルバイクで競技が行われるようになっています。

UCIでは、ジュニア（16歳-18歳）とエリート（18歳以上）のクラスで20インチと26インチのカテゴリーが分かれていますが、BIUではカテゴリーが廃止され、「26インチ以下」と一括りにされています。そのため、26インチよりも軽量で取り回しやすい24インチのバイクで参戦する選手もいます。

バイクトライアルは、高度なバランス感覚とテクニックが要求される、エキサイティングなスポーツです。

関連情報

日本バイクトライアル連盟（BIU加盟団体）
Union Cycliste Internationale（国際自転車競技連合）
* Trials

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