バキリ・ムルジ

エルソン・バキリ・ムルジ

エルソン・バキリ・ムルジ（Elson Bakili Muluzi、1943年3月17日 - ）は、マラウイ共和国の政治家であり、1994年から2004年まで同国の大統領を務めました。

来歴

1994年5月、マラウイ初の複数政党制による大統領選挙で、ムルジは47.2%の得票率でヘイスティングズ・カムズ・バンダを破り、大統領に選出されました。同時に行われた総選挙でも、ムルジが率いる統一民主戦線（UDF）が勝利を収めました。1999年6月の大統領選挙では、52.4%の票を獲得し、グアンダ・チャクアンバらを破って再選を果たしました。

2期目の半ばである2002年、ムルジは大統領の3選を禁止する憲法を改正し、自身の3選を可能にしようとしましたが、反対デモが発生したため、この提案は実現しませんでした。2004年5月には、2期10年の大統領任期を終え退任し、後任には同じUDFのビング・ワ・ムタリカが当選しました。

ムルジは、バンダ政権後、UDFを率いて民主主義を推進しましたが、大統領としての在任期間は論争とスキャンダルに彩られました。特に、国内に飢饉をもたらした旱魃の直前に、トウモロコシの備蓄を他国へ売却したことが大きな問題となりました。国際的な圧力にもかかわらず、備蓄食料の販売による数百万ドルの利益は回収されず、ムルジとその支持者の手に渡ったと広く疑われています。

しかし、ムルジは南部を中心に国民からの支持を集めていた大統領でもありました。2005年2月に後継大統領であるムタリカがUDFを離党し、民主進歩党（DPP）を設立した後も、ムルジはUDFの党首として活動を続けました。2005年4月には、ムタリカを後継者に指名したことについて国民に謝罪しました。

2006年7月27日、ムルジは詐欺と不正の疑いで逮捕されましたが、同日中に保釈されました。2007年3月初旬には、UDFの有力者たちが2009年の大統領選挙への出馬を要請し、党も3月11日までに立候補の意思を表明するよう求めました。これに対しムルジは、憲法の規定は再選を2期までとするものであり、一度退任した者が再び選出されることを妨げるものではないと判断し、大統領選挙への立候補を表明しました。また、憲法から「連続して」という文言を削除する提案も出されました。

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